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AO・推薦入試に効果的な“朝活”について【“両立”というまやかし】

こんにちは。日本アクティブラーニング協会理事の青木唯有(あおき ゆう)です。AO・推薦入試オンラインサロンのナビゲーターも務めています。

これまで長くAO・推薦指導に携わってきた私自身の経験から、AO・推薦に象徴される大学受験の大きな変化から見えてくる様々なことを、本ブログにて定期的にお伝えしています。
このような情報や視点を、特に保護者の方に認識いただくことで、大学受験を通じて形成される親と子の自立した関係「親子軸」を育むヒントにしていただければ幸いです。

「部活」と受験の両立
「習い事」と受験の両立
「恋愛」と受験の両立

受験勉強を阻害するような要素が存在し、そのどちらもが自分にとっては重要なものであるとき、双方をどのように成立させるかは受験生自身の永遠の悩みでしょう。

その根本には、「時間の使い方」という普遍的な課題があるようです。

人間に与えられた時間は、皆平等です。
しかし、限られた時間をどのように活用するかによって、その人が生み出す成果が大きく変わってしまいます。
わずか1時間の取り組みで他の人の5時間分の成果を生み出せる人もいれば、いくら時間があっても全く進歩的でない過ごし方をしてしまう人もいます。

受験に限らず、仕事や社会生活においても、同様の課題が誰の中にもあるのではないでしょうか?

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私は、そもそも「両立」という概念が非常に厄介だと感じています。

よく、「AO・推薦入試と一般入試を両立させることは難しいですよね?」という質問を受けます。

大量の知識を問うペーパーテスト型の一般入試と、人物の多面的な個性を総合的に判断するAO・推薦入試とでは対策が異なるため、両睨みをすれば、それぞれの準備に要する時間が削られてしまう・・・という感覚なのだと思います。

ですが、どちらの方式も「その大学が欲しい学生を採用するための入り口である」という本質は共通です。
ところが、「両立」という言葉を持ち出した瞬間、あたかも対立する要素であるかのような感覚になってしまうのです。

私は、このような「薄切りにされた時間」という概念を蔓延させてしまう要因の一つに、実は「受験勉強」があるのではないかと感じています。

そして、その対極にあるのが、「経営者」です。
彼らは、限られた時間の中で驚くほどの生産性を生み出すことに長けた人財です。時間を薄切りにするのではなく、多重的・同時並行的に扱い、まるで魔法のように新しいものを生み出していきます。
優れた経営者は、「時間の捉え方」が全く違うのです。

実は、AO・推薦入試に挑むプロセスは、この「経営者マインド」を醸成することに非常によく似ています。

1990年代に刊行された「ビジョナリー・カンパニー」というベストセラーがありますが、この著書では多くの有名企業を例に挙げ、そうした優良企業の経営者の特性を明らかにしています。

そして、経営者の本質を「時を告げるのではなく、時計をつくる」と表しています。

「時を告げる」というのは、経営者自身が時計を持ち、社員たちに時間を正確に示すことで会社が回っていくイメージです。
カリスマ経営者がトップダウン的に何から何まで指示する感じでしょうか。

一方で、「時計をつくる」ことに尽力する経営者のもとでは、社員が自らで「時間を知る」ことができる会社がつくられます。
「正解を知っているのは社長一人であり、社長の判断が全て」ではなく、「一人ひとりの社員が自らで答えを見つけられるような仕組み」によって経営されているイメージです。

持続性のある強い組織体は、もちろん後者です。

そして、このような、
「組織全体が自律的に機能するための判断基準」=「時計」としての役割を果たすものが「ビジョン」です。

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自分以外の人財と価値を共有できる「ビジョン」を明確にすることは、仲間や資源を引き寄せ、それにより自分の時間を何倍にもすることができるのでしょう。

まさに、AO・推薦入試のプロセスで、志望理由や将来像を具体化することは、人生における有限の時間を豊かにするための「ビジョン」の形成に他なりません。
以前の記事で、こうした受験を経た人財が、その後仲間と共に事業を立ち上げたり起業したりするケースが多いというのも、AO・推薦入試をきっかけに、自分の中のビジョンを耕したという経験が大きいのではないかと思います。

ですので、前述の「AO・推薦入試と一般入試を両立させることは難しいですよね?」という質問に対しては、

「両立という概念に縛られ、せっかくの自分の人生を“ハムの薄切り”のようにしたくないのであれば、一般入試に加えてAO・推薦入試に挑戦することは、非常に健全なのではないでしょうか?」

とお答えします。

とはいえ、「時間がない!」と悩まれている受験生や保護者の方にぜひオススメしたいのが、朝の時間帯です。

朝を制すものは受験を制す

とよく言われますが、起きてから2〜3時間は脳のゴールデンタイムと言われ、最もクリティブな思考や発想が湧くそうです。

その時間帯に、AO・推薦入試に必要な志望理由書や活動報告書を作成したり編集したりするのです。
実は、朝は夜以上に家族が時間を共にでき、親子で研究テーマや将来について調べたり語り合ったりするには最適です。
実際に、私が出会ったAO・推薦入試の受験生たちの多くが、やはり朝の集中タイムを活用していました。

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また、学校や仕事など、出かけるためのタイムリミットがあるというのも、非常に都合が良いと思います。
何かを創作し形にする際、時間制限を設けることは良質なスパイスになるからです。

そうした朝の時間を家族で協力し合い意図的に作ることで、受験の対策だけにとどまらず、生涯を支え豊かな人生を送るためのビジョンを育むことに繋がるのではないでしょうか?

次回は、「AO・推薦入試に必須!大量の情報の扱い方」です。
お楽しみに。

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