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AO・推薦入試に必要な“失敗”とは? :前編【独自性を生み出す条件】

こんにちは。日本アクティブラーニング協会理事の青木唯有(あおき ゆう)です。AO・推薦入試オンラインサロンのカレッジアドバイザーも務めています。

これまで長くAO・推薦指導に携わってきた私自身の経験から、AO・推薦に象徴される大学受験の大きな変化から見えてくる様々なことを、本ブログにてほぼ毎日お伝えしています。
このような情報や視点を、特に保護者の方に認識いただくことで、大学受験を通じて形成される親と子の自立した関係「親子軸」を育むヒントにしていただければ幸いです。

AO・推薦入試には、教科書や模範解答は必要ありません。
自らが問いをたて、正解のない課題に対して向かう力が求められます。

そう言うと、
「では、そうした力を鍛えるには、一体どのようにしたら良いのですか?」
といったご相談をよく受けます。

私は、AO・推薦入試とは単なる入試形式の一名称ではなく、もはや「動詞」だと思っています。

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「人の行動の集積」が未来に対して価値あるものであるかどうかが、書類審査や面接試験に至るまで一貫して求められるからです。

学校の成績が優秀だったり、スポーツや学芸の受賞歴や海外在住歴や留学歴が豊かだったり、語学力が堪能だったりと、華やかな活動実績や高度な資格を持っている人が有利な入試、、、そんな印象が非常に根強いのですが、結局は、それらも「行動の集積」の中にある一プロセスにすぎません。

非常に単純です。

ただしここで勘違いしてはならないのは、大会やコンテストでの実績や資格だけが、自分の行動を証明する素材ではありません。

私は、自らの「行動の質」を証明するための最大の要素は、実は「失敗」だと思います。

学校の国語の授業では、「失敗」は「成功」の対義語として教えられます。
こうした認識が、「失敗」に対してネガティブなイメージを根付かせてしまうのだと思います。

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一方、“失敗は成功のもと” という諺が示す通り、それらは成功に至るための重要な要素であるという考え方もあります。
確かに、「成功」の反対は「失敗」ではなく、どちらかと言うと「何もしないこと」だとも言えますよね。
とは言え、「失敗」を重ねていけば必ず成功に近づくというものでもありません。

私は、実は「成功」も「失敗」も、「行動」を重ねた過程の中で両者等しく存在するものだと思います。
どちらもプロセスにすぎないのです。

ただし、「成功」と比べ「失敗」はその意味や価値がわかりにくい点が厄介です。
「成功」は、他者からの賛辞によって喜びや達成感などともにアピールしやすく、賞状や資格によって客観的に証明することもできます。

ところが「失敗」は、そうはいきません。
そもそも自分がうまくいかなかった経験を見たい人はあまりいません。
自分の失敗に正対すること自体が、かなり難しいのです。

そこで必要になる能力が、「失敗」を未来に向けたより良い素材にするための「解釈力」です。

その経験や結果は自分にとってどんな意味があり、それによって自分にどんな変化が起きたのかを紐解くことができるのは、実は、「自分自身」しかいません。

思い通りに進まなかったりうまくいかなかったりする経験は、自分の解釈次第では、成功すること以上に「価値ある経験」となるのです。

他者の評価や世間一般から理解されやすい成功体験よりも、むしろ「失敗」こそ、自分自身の独自性を発揮できる経験となるはずです。

(中編につづく)

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