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一般入試がAO・推薦入試に変化する!?【予測不可能な冬の入試の向かい方】

こんにちは。日本アクティブラーニング協会理事の青木唯有(あおき ゆう)です。AO・推薦入試オンラインサロンのナビゲーターも務めています。

これまで長くAO・推薦指導に携わってきた私自身の経験から、AO・推薦に象徴される大学受験の大きな変化から見えてくる様々なことを、本ブログにてほぼ毎日お伝えしています。
このような情報や視点を、特に保護者の方に認識いただくことで、大学受験を通じて形成される親と子の自立した関係「親子軸」を育むヒントにしていただければ幸いです。

コロナ感染拡大のリスクに対して、冬に実施する大学の一般選抜について、様々な対応策が公表されています。

今年度から実施される「共通テスト」の前進であるセンター試験の受験人口は55万人、早稲田大学や明治大学などは全学部合わせて10万人を超える受験者となります。

必然的に大勢の受験者たちが、試験を受けるために一つの会場で長時間過ごすことになり、複数大学を受験すれば、短期間に幾日もそうした状況に晒されます。試験会場の中だけでなく、行き帰りの移動における感染リスクにも注意しなければなりません。

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ひと月先の状況も予測することが難しい現状で、ウィルスの感染拡大のリスクを押さえ込みながら安全な選抜をどれだけ実施できるかの判断は、大学側としては非常に難しいところでしょう。

さらに、高校によっては長期間の休校により学習進度の遅れが発生する可能性もあり、そうした進捗の格差も考慮すべきという声も上がっています。

現状の対応策は、概ね以下のようです。

・個別試験の追試日の設定
・個別試験を実施せず共通テストのみで合否を判断
・個別試験で応用範囲の出題を控える
・個別試験の問題に対して補足説明を加える

受験生自身や家族がウイルスに感染し自宅待機や入院を余儀なくされても別日で受験できるようにしたり、ほとんどの受験生が受けることが予想される「共通テスト」のスコアで最終合否を判断したり、問題の内容に関して配慮することで進捗の遅れをフォローしたりするという方策です。

もちろんこうした対応は必要なことだと思いますが、どの案も、ペーパーテストのような知識量を「平等な条件で問う」にはどうするかという次元にとどまっているように感じます。

さらに、個人的には驚くべきことなのですが、あれほど謳われある意味問題にもなった「教育改革」をどう推進するかについては、「対コロナ」の陰で完全に忘れられてしまっているようです。

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ですが私は、こういう状況の時こそ、表には現れない裏側の部分にある本質を、保護者の方が如何に見いだせるかが、子どもたちの可能性に大きく影響するのではないかと思います。

もともと、「教育改革」における大学入試のあり方は、

・民間英語資格の活用
・共通テストの記述式導入
・主体性・協働性の評価

が大きな柱でした。

ところが、その運営・推進についての課題や懸念をクリアすることができず、民間英語資格の活用も取り下げられ、共通テストの記述式問題も無くなりました。
さらに、主体性・協働性を記録するために、文科省により学校単位での導入を強く推奨された「JAPAN e-Portfolio」の運営許可も取り下げられてしまいました。

学校現場や受験生からすると、「完全に振り回された」という感覚なのではないでしょうか?

ただ実は、先に挙げた3つの柱は、AO・推薦入試においては定石です。

具体的には、、、

・民間英語資格スコアの提出
・論述・記述による思考力を問う出題
・ポートフォリオ作成による活動歴

という、ほぼ共通の形式で長年にわたり既に選抜の実施実績があるのです。

さらに文科省は、入学者選抜について、その方針を一切変えてはいません。
以下は、今年6月に公示された「大学入学者選抜実施要綱」の中にある「入試方法」についての記載の引用です。

入学者の選抜は、調査書の内容、学力検査、小論文、入学志願者本人の記載する資料等により、入学志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・ 判定する入試方法による。

この文言の中で注目すべきは、「入学志願者本人の記載する資料等」が、評価・判定に影響するということです。

この“資料等”が何を表すかというと、具体的には以下のように示されています。

“エッセイ、面接、ディベート、集団討論、プレゼンテーション、各種大会や顕彰等の記録、総合的な学習の時間などにおける生徒の探究的な学習の成果等に関する資料やその面談等。”

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お分かりかと思いますが、これはまさに、活動報告などのポートフォリオ作成で示されるようなAO・推薦入試で必要となる要素ばかりです。

そして非常に重要な本質は、これは、一般選抜やAO・推薦という形式の違いにかかわらず、大学受験そのものに共通する大きな方針なのです。

人は、有事や不安定な状況に相対すると、わかりやすい情報を表面的に捉えることのみに終始し、知らず知らずのうちに思考停止に陥ってしまいがちです。「個別試験」の出題への配慮や「共通テスト」の活用など、コロナのリスクに対する各大学が示す方策についての情報を得ることはもちろん重要ではありますが、『 “それのみ”での選抜が成立しない可能性』も想定しておいた方が、実は賢明なのではないでしょうか?

数ヶ月先の冬の一般選抜において、、、

・得点だけでは評価の判断が難しい状況
・得点すら出せなくなってしまう状況

そうした “想定外を想定” した時にこそ助けになるのは、やはり本質に返ることです。

そう考えると、実は、AO・推薦とは全く異なる性質だと認識されていた一般選抜の領域に、もしかしたら、AO・推薦入試のために準備していることが生かされる可能性が見えてきます。

実際にどうなるかは全くわかりませんし、誰も予測できることではありませんが、いずれにしても、“見える事象”にだけに対応するのではなく、その奥や裏にある状況についての洞察を働かせることが、受験生の保護者の方に今こそ求められているのではないでしょうか?

次は、「AO・推薦受験生のための効果的な“朝活”について」です。
お楽しみに。

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