つくるを、かろやかに。(要するに何なの?デザイン経営)
「デザイン経営についてお話してください。」
最近、そんなふうに声がけいただいて様々な地域でお話する機会が増えてきました。
というのも、これまでに僕たちが関わらせていただいたプロダクトについて
販売が好調なだけでなく「会社のことをたくさんの人に知ってもらえた」とか「良い人材が入社してくれるようになった」とか、会社や組織に良い変化をもたらした事例として挙げられる機会が増えているらしいんですね。
僕たちは経営に詳しいわけではないんですけど、そのきっかけを作った一人として話せることがあるならということで、お話させていただいてます。
1.デザイン経営って?
さて、とはいえ「デザイン経営」って。
なんでしょうこの言葉。
たとえば、特許庁にはこんなふうに記載されてます。
ふむ。早速出ましたね。カタカナ言葉。ちょっと書き出してみましょう。
分からなくはないけど、ピンとこない。
このままだとこれをテーマに人前でお話することなんてできないので、僕なりに理解して、実際の作業者として明日からすぐに使える言葉に噛み砕いてみたので、今日はそのお話をしたいと思います。
2.他者が使う言葉
まずは「デザイン」ってなに?というところですが
こちらについては「デザインなんて知らない」という記事を読んでいただければと思います。
さて、その上で「ブランド」と「イノベーション」ですが
この2つって、ビジネスの場で当たり前に語られがちな言葉なんですけど、よくわからないですよね?
そもそもこれら2つとも、完了したプロジェクトを見た他者がそれを評価するときに使う言葉だと思うんです。
ざっくり言えば、言われて嬉しい褒め言葉の一つだと思ってます。
だから、これから何かを始めようと思っている本人が「ブランドを作るぞ!」とか「イノベーションを起こすぞ!」って自分で言うのって、図々しいと言うか、ちょっとおかしな状況だと思ってます。
とはいえ、じゃあ
これから何かを始めるよ!って立場として、「ブランドだね」とか「イノベーション起こしましたね」と言ってもらえる確率を上げることはできるかもしれません。
そういう目線で見ていきましょう。
まずは、ブランドについて。
3.ブランドって?
わりとやりがちなのが、最初にコンセプトを決めて、ロゴを作って、そのロゴが入った製品をたくさん並べるっていうやり方です。
でもそれって「ブランド」ではなく「グッズ」ですよねって、僕は思います。
バンドのツアーグッズとかだと、Tシャツとかタオル、ステッカーなど作りますよね。そんな感じのやり方。そこから「ブランドって言ってもらえるもの」を作るのって、なかなか難しいことだと思います。
(この記事も参照ください↓)
じゃあ「ブランド」って言ってもらえるものを作るにはどうしたら良いか。僕なりに噛み砕いて言えば
実績 と 期待。これが大事だと思っています。
実績は「あの時けっこう良かったんだよね」という過去の積み上げ。期待は「あいつら次は何をするんだ?」という未来への妄想だと思います。
それで、プロジェクトを立ち上げる段階では、未来をどう作るかしかできないわけです。
どーんと複数の製品を一気に見せて迫力で乗り切るのではなく、1つ1つ積み上げて、未来にワクワクしてもらうのが大切だと思います。
その上で大事なのは、ただ1つ製品を出すんじゃなくて、ユニークな価値軸を持った1つの製品を、作り、伝え、届けること。
これを1つ1つしっかりやり切って、その繰り返しで「ブランド」と言ってもらえる状況ができていくんじゃないかなと。
ここまで大丈夫でしょうか。
では、次のお話に行きますね。
4.イノベーションって?
イノベーション。もちろん言葉の意味はわかるんですけど、作業者として何をすれば良いのかって、よくわかんないですよね。
これもまた僕なりに噛み砕いてみますね。
イノベーションって、実際には「価値軸を変える」ってことだと思ってます。
スペックや価格など既に見えている軸ではない新しい軸を打ち立てること。
具体的には、販路、シーン、ユーザー、文脈など、普段とは別の視座に立つと見つけられると思います。
さてその上で「イノベーション」って言ってもらえるようなことが起きる確率を上げるには、どうしたら良いんでしょう。
僕が思うにはですが
無駄を楽しむってことが大事なんだと思います。
試作を作りまくったり、無駄話をしまくったり。途中で大きな方針転換をしたり、せっかく作り込んだものをひっくり返してゼロベースでやり直したり。
個人としても、組織としても。そういう紆余曲折を楽しむ姿勢が必要なんだと思います。
そしてもう1つ、意外と見落としがちだけどすごく大切なことがあって。
使いながら考える。これが大切なんですよ。
実は、日本のメーカーのほとんどが、本当の意味ではやれていない事で。
もちろん、ちゃんと動作するかとか、強度はどうかとか、そういった試験はしっかりやられてるんですけど、発売前に世界一のヘビーユーザーになるっていう、そこが抜け落ちていることが多いです。
本当にリアルな環境で使うから見えることってすごく多くって。
ユーザーテストだけじゃなく自分自身も使い込むことで、製品のコアの価値を探して言語化したりできますし、そして、必要であれば製品自体も改変しちゃう。そんな姿勢が大事なんじゃないかなと思います。
5.つくるって、楽しい。
様々な地域で中小企業の方のお話を聞く機会が増えているんですが、みなさん似た悩みを抱えています。
「大企業依存の下請け体制から脱却したい」
「若手人材を確保したい」
「風通しの良い職場を作りたい」
これらの問題を解決するために、勉強会に参加したり、組織改革を試みたり、そういうのは大切なことだとは思います。でも、頭でっかちに難しく考える必要はないと思うんです。
「ブランドを作るんだ、イノベーションを起こすんだ。」なんて力まなくて大丈夫。
ただつくるって、楽しい!って原点を思い出すことができれば、これらの問題は少しづつ良くなるんじゃないかと思っています。
というわけで、締めとして。
最近つくったTENTのミッションをここに書きたいと思います。
つくるを、かろやかに。
ものづくりって、難しい。
やるべきことは無数にあるし
毎日たくさんのトラブルが起きるから。
でも、難しく考える必要なんてない。
何かを作って誰かに届ける。
それってとっても楽しい事なんだから。
良いものづくりは、
面白がることから始まります。
「そもそも何しよう?」
「どうやって作ろう?」
「なんて伝えよう?」
その全てに関わってきたTENTとなら
作って届けるまでの道のりを、楽しみながら進んでいけます。
会社の新しい試みでも、個人の暮らしの中でも。
「つくる」気持ちを軽やかにするお手伝いができると嬉しいです。
ものづくりだけでなく、楽しい組織づくりなんかについても、僕たちのやり方が役立つと思ってもらえるなら。
いつでもお声がけいただけると嬉しいです。
YouTubeでもお話しています。
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