依存先。
中学生だから、12,3年くらい前か。
「担任のセンセに依存してたんだ」
「依存?」
「彼女はね、なんでも話聞いてくれてたからそれに甘えてたんだよね」
「うん」
「アドバイスも、否定もしないし、ほどよくテキトーに聞いてくれてね」
「いい先生じゃないの」
「そう思うよ、でも気付いたら一線を越えてたんだよね。具体的に、こう、ってじゃなくて、なんかもう、これはダメだろって領域まで踏み込んじゃった気がしたんだ」
でもセンセはね、聞いてくれ続けてくれた。同じように気付いていたはずなのにね。うちはそこに甘えてたんだ。
でもね、なんか、そういうの良くないなーってある時気付いてね
「よくないって?」
「エゴだよ」
依存する自分が怖くなってね。
「うん」
「センセには申し訳ないけど、負担をかけちゃったことより、そっちの方が大きくてね」
「うん」
そっから距離とったんだよ。うちは、人に依存しやすかったんだろうね。
なんでか。やっぱ、カテーカンキョーかな。いや、それも良くないか。いや、まあ。そうだな……
でね、もう、センセなしじゃまともに歩けないくらいボロボロになっちゃって。その頃からこうなったのは。
そういって、薬が入ったポーチを指した。
だから、ラッキーだったんだよ。
小説に依存すればいいって。
自分で書いてそこに依存すればいい。
人物にうちを反映させてそこに”センセ”を出す。そうすればいいことに気づいた。ほんとに偶然。
「どうせ、うちの小説読んどらんじゃろ」
え、なんで知ってんの
「ま、なんやかんやあって、今や売れっ子よ」
ピース、と苦笑い。
ああ、なんかわかってしまった気がした。
彼女と一緒にいても時々「遠く」感じる正体はこれか。
でも、僕は僕でどうしようもない異物を持っていたからそこで奇妙なバランスを保てていて、その距離が、ちょうど、ピースがはまるように、フィットして、その距離が心地よかったんだ。
歪んでんなあ。
文字にすると淡々。冷ややかで寂寞。でも、心地よい。
きもいな。なんだこいつ。意味わからん。
ちょん、とつついたら崩れ去ってしまいそうな。
でも、なぜか、崩れない。なんでだろう。
話を終えた彼女は僕のパソコンをいじっていた。
「何してんの」
「等価交換。うちのデリケートなエピあげたじゃろ」
変なやつ。
「エロ動画見てるかチェックしとった」
「親か」
「…….んー、ないな。見ないんじゃ」
「仕事用のパソコンで見ないし」
「ん?」
「あ」
「ほおおお」
そこから尋問が1時間続いた、とさ。
生活費になります。食費。育ち盛りゆえ。。