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台風で休校。

僕には高校生の妹がいるのだけど。

今日は台風の影響で休校になったらしい。
9時過ぎにのっそりリビングに降りると妹がいた。

「学校は?」
「台風でキューコー」

キューコー、みたいに休校と言った。

僕は朝起きるのが苦手な上に、基本的に部屋にこもっているので、家の中にいてもほとんど会わない。妹は朝6時半には家を出て、帰りは部活で遅くなる。だから明るい時間に制服姿以外の妹を見るのは久しぶりだった。

パーマがとれかけたボサボサ頭をかきながら歯を磨く。
シェイカーにチョコ味のプロテインを2スクープとコーヒーを少々。
シャカシャカ振る。無心にシャカシャカ。釈迦釈迦。シャカシャカ。釈迦釈迦。

朝のエンタメ『ラビット』をボケッと見ながら一口プロテインを飲む。
コーヒーを入れすぎて苦い。やらかした。

妹はテーブルで課題らしきものをやっている。

「休校だから課題でたの?」
「いや?」
「それ違うの?」
「うん、自習」

本当に兄妹か。自慢することじゃないけど僕は高校生の時はろくに勉強しなかった。大学の附属だったから大学に行けたようなものだ。テスト前ですら勉強しなかったのに。

「にいちゃんさ」
「はい」なんかビシッと言われそうなので敬語。
「いつもこの時間に起きてるの?」
「そうですが」
「ふーん」

なに、その「ふーん」は。

「仕事しないの?」と妹が聞く。
「するよ」
「9時だよ?」
「あのね、世の中にはいろんな人や働き方があるんだよ」
「ふーん」

なに、その「ふーん」は。

「にいちゃんずっと部屋で仕事してるの?」
「うん。パソコンでやってます」
「たまに誰かと話してるでしょ。この前の夜聞こえた」
「まあ、定期的に会議はある」
「コミュ障なのに可哀想だね」
「俺もそう思う」
「パソコンってMacBookだよね」
「?そうだよ」
「うち、知ってるよ、にいちゃん2台持ってるでしょ」

なんで知ってんの。こわ。母親も知らないのに。

いや、隠してるわけじゃないけど。母は「無駄遣い」「高いのに」「1台で十分でしょ」と真っ当なことを言う。僕は、もちろん正論だと思っているけど何となくそう言われるのが苦手なので言ってない。だって合わせて40万以上したもん。

1台は仕事を始める前に2年ローンで、もう1台は仕事が安定してきた頃に一括で買った。壊れたら仕事できないので予備PCを持っている同業者は多い。

・・・というようなことを妹に言った。のだけど。

「1台ちょうだい」

「話聞いてた?予備なんだよ。1個しかないとそれ壊れたら仕事できないんだよ」
「うちの友達のお兄ちゃんは壊れても会社からもらえるって言ってたよ」
「ワタシは会社員じゃないので」
「就職したら?あ、無理か。コミュ障だもんね」
「・・・」

妹、強い。


生活費になります。食費。育ち盛りゆえ。。