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某市立図書館VS県立図書館、魔対応と神対応だった件。

1655文字・25min



 彼らは紛いなりにも市民の税金で飯を食っている。
 厳しく批判されて当然だ。と思うが。みなさんは如何。

 その本は村上龍の最新刊だった。買いたいとまでは思わない、そんなタイトルの小説「ユーチューバー」。

伊勢崎市図書館の場合

 地元の伊勢崎図書館に電話をした。
 小林(仮名)、と名乗る若いアルバイト風の、軽い感じの男が電話をとった。おそらく正規の職員だろう。

「村上龍の小説『ユーチューバー』が蔵書にあるかを知りたい。あれば借りたく思います。なければ相互貸借でお願いしたい」

 ぼくの注文ははっきりしていた。すると小林はこう答える。
「当館には所蔵はないので購入リクエストをしてもらうことになります」
「いや、購入はしなくていいんです。すでに他の図書館にあると思いますから、伊勢崎図書館になければ他の図書館から相互貸借でお願いはできますか?」
 とぼくは言った。二度目だ。
「当館には所蔵はないので購入リクエストをしてもらうことになります」
 小林からはおなじ回答が。ぼくと小林はすったもんだの押し問答はつづく。(大幅に割愛)
「いや、まず、当館に足を運んでもらい…」
「…っておい。話がズレてますよね! なんでこちらから足を運ばにゃならん?」
「リクエストをするにも相互貸借をするにもですね」
「リクエスト?」
「まず当館に足を運んでもらい…」
「お客に足を運ばせる運ばせない。なぜそこに論点がいく?」
 だいいちぼくの口からは《リクエスト》などいう言葉は一つも出ていない。
 感情があふれでる押し問答。ぼくはしびれを切らして
「もうエエ、代わってくれ。あんたじゃダメだ」
 こんどは町田(仮名)と名乗る中年の声。声からしていやに横柄なのが鼻にかかる。
 ぼくは小林との口論金網デスマッチで盛り上がってヒートアップしていた。そのまま町田に話し始める。
「フッ」
 と受話器から笑い声が聞こえる。ぼくの闘魂の魂は、アニマル浜口のように吠える。
「相手が真剣に喋ってるのを鼻で笑ってんじゃねーよ!」
「笑ってませんよ」
「じゃあ、百歩譲ってあんたは笑ってない。そうしよう。だがね。お客に『私は笑われたという被害意識』をもたれたら、それはあんたが『笑った』のと同義なんだよ!」
「…」
「図書館だろうがなんだが知らねえがあんたも客商売なんだよ! 血税をもらって市政サービスをやってんじゃねえのか! 『税金どろぼうっ!』って伊勢崎市民から言われてもあんたは一言も文句は言えねえんだぞ!」
「…ですから、うちとしては購入リクエス」
「おまAIロボットか! もうウッセーからあんた!」
「…ですから、うちとしては購入リクエス」
 ガチャン!
 おまんところからは、もう借りんわ! と心で叫んだぼくは県立図書館に電話をする。


群馬県立図書館の場合



たった十分で話は決着した。

⑴まず蔵書を調べてもらう。
⑵前橋市立図書館と高崎市立図書館にあると判明。
⑶伊勢崎市に隣接する市区町村の図書館であれば図書カードは作れる。
⑷前橋市立図書館で申請するのが一番良い。という意見を頂戴する。
⑸■重要:ベテランの女性の津山さんの神対応!
「検索に少しお時間かかりました。申し訳ありません」
「そんな、先ほどの、いや」
「どうかなさったんですか?」
「実はね…(伊勢崎市図書館の件)」
「おほほほ」
「ここで愚痴を喋れてスッキリしました!」
「いや、こちらこそそれくらいしかお手伝いできなくて」
「懇切丁寧なサービスありがとうございました」
「いえいえ」
「明日あたり、ドライブがてら、前橋市立図書館に行ってみます」
「時間がある時には県立図書館にもご来館くださいね」

 サービスとは、相手(クライアント)の意見に耳を澄まして、それを聞き入れる(努力をする)ことだ。

 自分たちのシステムに相手を無理やり嵌めようとさせる。その行為はサービス自体を破綻に向かわせる。相手(クライアント)はパズルのピースや機械の部品ではない。ひとそれぞれが違う人間なのだ。伊勢崎図書館のサービスは破綻に向かっている。群馬県立図書館のサービスは十全に機能していた。




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