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ちいさいおみせ① 青子さんと猫

ちいさいおみせ① 青子さんと猫

森のいりぐちからすこし入ったところに、
ちいさいお店がありました。

一本の常緑樹がお店の横にあるのと、
赤い屋根がめじるしです。

手づくりの楕円の看板が
ドアノブにかけられ
『もりのれすとらん』
と書かれています。

お店をやっているのは、青子さんという女の人。
あるひとたちは彼女のことを
まだ結婚前のうら若き乙女だと思っているし、
またほかのひとたちは
子育てのひと段落したおかあさんだと思っ

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ヒスにゃん賛歌

ヒスにゃん賛歌

ママが作ったうたがあるにゃ。
ママはそれをまいにち歌ってたにゃ。
そのうち、おどりもついたにゃ。

ママがおどったら
おばあちゃんも踊るようになったにゃ。

きのうはついに
下のおにいちゃんまでおどったにゃ。

みんなでおしりふりふり。

【ヒスにゃん賛歌】 作詞作曲 ママ

ヒスイにゃんこ
ヒスイにゃんこ
ヒスイにゃんこは かわいいニョ🎶

ヒスイにゃんこ
ヒスイにゃんこ
ヒスイにゃんこは す

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ヒスにゃんのまなざし

ヒスにゃんのまなざし

ミーはよくママの目をじっと見るにゃ。

ママの目の中にミーがいる。
安心するにゃ。

ママのお顔を見ると
優しいお顔でミーを見てるにゃ。

ミーがたいせつなんだにゃ。
ミーがかわいいんだにゃ。
ミーがすきなんだにゃ。

だあれもいないとき
ミーはママにキスをする。
ありがとにゃ。

しずかな夜。
今日も
ママの目の中にミーがいる。

あしたもこうだといいにゃ〜。

Byヒスイにゃんこ♡

ヒスにゃんの素敵な一枚

ヒスにゃんの素敵な一枚

こんな感じで、すやすや寝てたにゃ。
いい夢見てたにゃ。
お昼寝最高にゃ♡

でも、寝返りうって
ベッドから落ちたにゃ。

Byヒスイ

ヒスにゃん

ヒスにゃん

10月3日かようび

ミーのすきなばしょ。
もちろんママとミーの部屋。

いつもいつでもママとお部屋にいたいけど
ママもお仕事があるにゃ。

ママが台所にいて、
トントンって包丁の音と
音楽が聴こえてきたら
ミーはそこに行くにゃ。

ジュージュー
お肉を炒める音
いい音だにゃー。

ママが選ぶ曲
ミーも好きだにゃー。

窓の外を眺めながら
お料理してるママのそばでくつろぐにゃ。
この時間も、なかな

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ヒスにゃんのおいたち

ヒスにゃんのおいたち

キミと出逢ったのは保護猫カフェだったね。
おにいちゃんがキミを撫でて
「おれ、この子飼いたい」って
ママやおばあちゃんにお願いしたんだよね。
おにいちゃんが少しでも元気になれるならと思って
わが家に迎えることに決めたのが
今年の6月20日でした。
亡くなったおじいちゃんのお誕生日とおんなじ日だよ。
そしてキミが初めてうちに来たのは
7月7日、七夕の夜でした。

ボランティアさんが作ってくれた
青い

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ヒスにゃん

ヒスにゃん

9月27日すいようび

ミーは知らにゃかった。
秋がしずかなこと。

夏がすぎて
ママが窓をあけるようになってから、
ミーはよく窓の外を見ているにゃ。

網戸のむこう側にちいさな虫。
今日はママとおにいちゃんが草むしりをした。

秋の風ってきもちいいにゃ。

ミーは知らにゃかった。
家族との暮らしがどんにゃのか。
みんなの音を聞きながら
ミーはまいにちここにいる。

平和だにゃあ。

はじめてだか

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ヒスにゃん

ヒスにゃん

9月26日かようび

きょうは一日ママがいるにゃ。
ミーにはそれがいちばんの安心にゃ。

さいきんおでかけが続いたから
ママ疲れたのかにゃ。
朝ごはんたべてからおやつのじかんまで、
ぐーぐー寝てたにゃ。
ママがベッドにいたから、きょうはミーも
そこにいた。
いつもなら朝ごはんのあとは窓辺でひなたぼっこがお決まりにゃんだけど。

きょうのおやつはちゅーるだった。
「昨日はおるすばんごめんね」ってママ

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ヒスにゃん

ヒスにゃん

保護猫カフェからわが家に来た猫、ヒスイとのまいにち。

……………

9月25日げつようび

朝からヒスイを置いてお友だちに会いに行った。

夕方には帰るつもりだったから
「すぐ帰るからね」って、頭を撫でて。

埼玉から神奈川まで胸をときめかせてちいさな旅だった。
むこうではお友だちのお友だちにも出逢ったりしてお話に花を咲かせてたんだけど、
さて解散、と時計を見たら4時半。
ぎょえー。

夕食にも

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絵子おばあちゃんとお茶の時間

絵子おばあちゃんとお茶の時間

今日は県民の日。晴れ。
娘の姫さんが、絵子おばあちゃんのいる実家に来ています。
姫さんはふだんは教師として忙しく働いていますが、実家に帰ったときはのんびり、おばあちゃんとの時間を楽しむのです。

姫さんが手土産に持ってきたお菓子と、絵子おばあちゃんが淹れた珈琲でお茶しています。
レースのカーテンごしに柔らかい光がさして、こげ茶色のテーブルがまるでお店のようにおしゃれに見えます。
「おかあちゃんの淹

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絵子おばあちゃんとの一日② 【バナナマフィン】

絵子おばあちゃんとの一日② 【バナナマフィン】

はづきちゃんがぬり絵をしていると、絵子おばあちゃんが言いました。
「はづきちゃん、おばあちゃんと一緒にお菓子を焼いてみん?」
「お菓子……はづき、やったことない。むずかしい?」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。おばあちゃんが一緒にやるけぇ」
「じゃあやる!なにつくるの?」
「まふいんというおしゃれなカップケーキ」
絵子おばあちゃんは両手の指先を口にあてて、うふっと笑いました。
「えー、すごい!」

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絵子おばあちゃんとの一日 ①【ポタージュスープ】

絵子おばあちゃんとの一日 ①【ポタージュスープ】

ある朝、絵子おばあちゃんがスープを作っていると、電話がリンリンとなりました。

「はいもしもし。おはようございます」
「あ、絵子おばあちゃん、おはようございます」
電話の向こうは、ちょっと緊張したような女性の声です。
「近所の高井戸です」
「ああ、高井戸さんね。おはようございます。どうされましたか」

「あの……じつは、すごく申し訳ないんですけど、今日一日だけ、娘をおねがいできないでしょうか」

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絵子おばあちゃんの台所 【冬瓜】

絵子おばあちゃんの台所 【冬瓜】

赤いお屋根の小さなおうちに住んでいる絵子おばあちゃんは、ご近所の人気者です。
ワイワイとした人気ではなく
ひそかな、人気者。

秋の終わりの夕暮れに
絵子おばあちゃんがソファでのんびりしていると、ピンポーンとチャイムが鳴りました。

あら、誰かしら。
絵子おばあちゃんが玄関を開けると、
斜向かいのおねえちゃんがエプロン姿で
大きな瓜を抱えていました。
おねえちゃんといっても、若くしてこどもを5人育

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