祭りのあと-TOUTEN BOOKSTOREでの3週間のこと
noteに書くのは相当に久しぶりだ。ぼんやりしているうちに4月になってしまった。
TOUTEN BOOKSTORE での展覧会が先月のことだっただなんて、信じられない。もっと、遠い昔のことのよう。もっと遠い、記憶の中の祭りのようだ。
令和6年2月23日から3月16日まで「詩集『手癖で愛すなよ』刊行記念
犬飼愛生・寺田マユミ 二人展」を名古屋・金山のブックカフェ、ギャラリーTOUTEN BOOKSTOREで開催させてもらった。
詩集の刊行記念で展覧会、というのも珍しいと思うのだけれど、いろいろな巡りあわせでこうなった。いちおう、詩集の刊行記念であるから…どんな展覧会にしよう? と相談しているうちにこの詩集の中の言葉を抜き出して、寺田さんが新たに新作のイラストを作ってくださるということになった。なんということだ。ありがたすぎてびっくりしているうちに2月になった。詩集の中のどの言葉を抜き出すのかは完全に寺田さんにお任せして、制作されるイラストも私自身は関与しなかった。だって、寺田さんのイラストならきっとどれも素晴らしいに決まっている。
展覧会の前日に寺田さんと設営をした。はじめてみたその新作イラストはやっぱりどれもかわいくて、素敵で、そのイラストの中に私の詩の言葉が入っていて、言葉は書体や配置や大きさもぜんぶ違っていて、でもやっぱり寺田マユミテイストには違いなく、あぁ、やっぱり好きだなあ、とてもいいなあと思ったのでした。私が本当に大好きで尊敬しているイラストレーターさんです。
展覧会の様子や作品の解説は私も寺田さんもたくさんSNSで発信したので、もしよろしければご覧ください。
私は「何を展示しよう…」と悩んだあげく
「詩人の机」と題して自分の書斎を再現展示することにしました。実際に本棚代わりに使っているリンゴ箱と一部の書籍を持ってきて、机の周りも愛蔵書を並べ、壁にも実際に貼っている書きかけの詩やDMなどいろいろ持ってきました。蔵書や展示品は会期の前期と後期でちょっとずつ変えたりもしていました。この「詩人の机」は案外と興味を持ってくださる方が多くて、同じ蔵書を持っています、っていう方と話がはずんだり私を形作ってきた詩集やZINEの話をさせてもらったりと、ずいぶんご来場のお客様との会話のきっかけとなってくれました。
私のもう一つの企画として「❝TOUTEN BOOKSTOREの詩❞を作る」というものがありました。展覧会にご来場くださったお客様から「TOUTEN BOOKSTORE」をイメージさせる言葉を募って、それを私が整理し詩にするという企画でした。
こんな感じで会期中はいただいた「言葉」を壁に貼ってそれも展示の一部としました。思った以上に速いスピードで言葉が集まってきてとても嬉しくありがたかったです。その言葉たちを眺めていると、この会場であるTOUTEN BOOKSTOREというお店がとても愛されていることが伝わってきます。在廊していると常連さんにもたくさん会ったし、一度来てみたかったんです、と遠方から来られるかたも多かったです。私の知人・友人もたくさん来てくれましたし、逆に偶然の出会いもたくさんありました。TOUTEN BOOKSTOREという場所に集まってきた人たち、言葉たちとたくさん出会った三週間でした。
❝TOUTEN BOOKSTOREの詩❞は展覧会の最終日3月16日の読書会にて発表させていただきました。
❝TOUTEN BOOKSTOREの詩❞を作るため、みなさまから集まった「言葉」と向き合う時間は苦しくて、たのしかったです。ひとつひとつみなさまが書いてくださった「言葉」を眺め、感じ、それを並び替え、つなげていきました。詩となるように私が少し足した言葉もありますが、ほとんどはご来場のみなさまが書いてくださった言葉そのものです。読書会にご参加くださったみなさまには、その集まった「言葉」すべてを資料としてご覧いただきました。
❝TOUTEN BOOKSTOREの詩❞を披露したあとワークショップとして最後の二行を空所とし、読書会にご参加のみなさまに続きの詩を考えて発表していただきました。このワークショップがすごくおもしろかったです!詩なんて書いたことない……!え~!……なんて言いながらみなさん真剣にシンキングタイム! 言葉と向き合う時間、そしてそれを声に出してみる。おひとりおひとりに私が小さな感想をお伝えさせていただいたのですが、そのお伝えしていく時間もとても楽しい時間でした。
そのあと、詩集『手癖で愛すなよ』の読書会。「今まで自分が詩にもっていたイメージが変わった」などの感想をいただき、ああ、ワークショップをやって、読書会をやってみてよかったなあ、と心の底から感じました。
展覧会では多くのお客様にご来場いただき、寺田マユミさんの作品もとても多く旅立っていきました。1点ものの「画」はお迎えいただいた方々の生活や節目にやさしく寄り添って、それぞれぴったりの方の元へお迎えいただいたように思います。
こうして、私にとってお祭りみたいな展覧会の日々が終わりました。
展覧会を企画してくださった、TOUTEN BOOKSTOREの古賀詩穂子さん、二人展として本当に素晴らしい新作をたくさん作っていただいたイラストレーターの寺田マユミさん、展覧会にご来場くださった皆様、心を寄せてくださった多くの方々本当にありがとうございました。
❝TOUTEN BOOKSTOREの詩❞の完成版、選書が素晴らしいTOUTEN BOOKSTOREにてぜひご覧ください。
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