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フィクション集

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葵の小説です。長いのも短いのもあります。
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記事一覧

【ノンセンス小劇場其の弍】マジカルバナナ

「なあ、マジカルバナナしようぜ」 「?、マジカルバナナってなんだ」 「ほらあれだよ、なんと…

葵
7日前
10

【小説】文明大火 #ネムキリスペクト

 そこは世界のすべてだった。王子の証である海水晶の嵌まった金の腕輪を光らせて、彼は世界の…

葵
2か月前
17

【2000字ノンセンス小劇場】君たち文化祭でバンドやるんだよね

「そうなんすよー。クラスにめっちゃ音楽詳しい奴がいて、いろいろ教えてくれるんすよ。そいつ…

葵
3か月前
19

今日だけを歩いてきた君が #シロクマ文芸部

 青写真、とか。見たことなかったな。  どうとでもとれる感想を、君の唇が零す。  こんなに…

葵
3か月前
31

天使の去ったあと【ネムキリスペクト】

 まぶたの裏にほのかな明かりがともった。胸の上をすんなりと覆う静かな布団の匂いが鼻腔に漂…

葵
5か月前
23

戦場で、素直じゃない君と #シロクマ文芸部

「誕生日に欲しいのはあなただけ」  節をつけて言うと変顔された。 「なにその顔」 「あてて…

葵
6か月前
29

【ネムキリスペクト】絵のなかで恋をしている

 ふとこんな想像に囚われることがある。  私は写真のように精緻な絵を見ている。絵を眺める少女の絵だ。彼女が見つめる額の中にも、絵を鑑賞する少女の絵が描かれており、その少女の視線の先にも、絵を見る少女の絵がある…  私のもつカメラ眼が、次々と続く額の連なりの中をトンネルのように通り抜けてゆく。その中に描かれたあらゆるものをつぶさに見て取る。絵の中の少女は気難しそうであまり美しくもないなどと、冷淡に批評する。  そして、やっと私の眼が私の身体に戻ってきた時、私は背後を振り返り、自

【ピリカ文庫】みんなすやすや眠る頃

 痛い。苦しい。辛い。悲しい。  真美は玄関で靴も脱がずに倒れ伏した。スーパーのレジ袋か…

葵
7か月前
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メランコリー・ノスタルジー・ファンタジー #シロクマ文芸部

 文化祭の後片付けで夜八時まで学校にいた。  昼の底が朱く吹き抜けた。朱の上が黒冷えした…

葵
9か月前
32

雲のいづこに #シロクマ文芸部

 ただ歩く。しっとりと重い空気を鼻先に、傘は頭上でぱちぱちと拍手する。こいつだけは暢気な…

葵
9か月前
30

自動的に消滅する、を飲むと #ネムキリスペクト

 誰にでも、消し去りたい過去はある。太宰でなくても、振り返れば恥の多い生涯を送ってきまし…

葵
1年前
32

太陽のへその緒 #春ピリカ応募

 黄色い絵の具を塗り込めたような冷たい表面に指を押し当てると、確かな手応えと共に明るい香…

葵
1年前
92

INHALE #シロクマ文芸部

透明な手紙の香り。それは朝の匂い。やや甘くて、すううっと光っている、冷えた風の香り。 朝…

葵
1年前
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光ったね #シロクマ文芸部

手渡されたのは光る種。たくさん。 猫の眼みたいに金色で、グリンピースくらいの大きさで、掌の上でほわほわあったかい。ランタンみたいな花が咲くんだろうか。 金色の髪の綺麗な女のひとが、くれた。小瓶に入れて首から下げた。 世界でいちばん暗い場所で、あなたの助けになりますように。 いま、あたりはじめじめして、薄暗くて、肌寒くて、澱んだ空気は死のにおいがして、人間たちの血と欲と汗の気配で、息が詰まる。忙しい足音に追い立てられる。傷だらけの足に触れるのは硬い石の床。首から下げた小