ちいさなちいさなありさんがはこびたいもの

今日は「開運館 上野マルイ」にて鑑定をしてきた青鳥(あおどり)なのです。
さすがに、せみさんの煩さは落ち着いてきたのです。
これから加速的に減っていって、いなくなるわけですが。ひとつ、またひとつとセミさんの声が小さく、少なくなっていくのです。

そのたびに、地上には動かなくなったセミさんの姿があるのです。
ひっくり返って、足がそのときの様子を留めたままのセミさん。
そんなセミさんがあちらこちらで見られるのです。この暑さで力をなくしたのか、きちんと本懐を遂げたのかはわからないのですが、とにかく落っこちている姿を見かけるのです。

落っこちて動かないセミさんに興味を示す人なんていないのです。
セミさんは鳴いてなんぼ、なのです。アクションがあるから、人はつい見てしまうのです。
動かない鳴かないセミさんには、大人も子供も等しく興味を示さないのです。

路傍のオブジェと化している物体は、普通のなんの特徴もない石と変わらないのです。
命が消えた物体とは、こんなものなのかなあ、なのです。

けれども、そうじゃない生き物もいたのです。
いつも見るありさんより、もっと小さなありさんたちが、ひっくり返って動かないセミさんに群がっていたのです。
あの小さなありさん達にしてみたら、巨大なごちそうがそこにあるのです。
そりゃ、群がるよなあ、なのです。時間がかかりそうだったのでその場を離れたのですが、気になるのです。
実際、どのようにして巣穴まで運んだのか。あのセミさんひとつで、どのくらいのちいさなちいさなありさんを養えるのか。

気になるなあ、の青鳥なのです。


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