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見上げた空には、お月さま



深夜2時。

そっと部屋を出る。


スリッパを履き、パタパタと屋上へと向かう。


露天風呂と書かれた暖簾をくぐり、脱衣場へ。

服を脱ぎ捨て、扉の奥をそっと覗く。



やったぁ。

誰もいない。




静かな夜。

微かな風の音と、湯の音だけが反響する世界。



「あちっ」っとひとりで顔をしかめながら、ゆっくりと湯船に浸かる。



身体の力を抜き、

プカプカと浮かんでみる。


見上げた空には、お月さま。




肌にまとう熱い湯が、蒸発して湯気となり立ち昇る。

私の想いも空へと、身を委ねる。


頑張ってきたんだな。

よくやってきたよ。

ありがとう、私。



夜空を見上げ、ふぅ~と息を吐く。


火照った身体を

夜風が優しく撫でてくれる。


誰もいない、月明かりの下、ひとり。
私は、夜に溶けていく。


また、来よう。


この気持ちを味わうために、この感覚に浸るために、

また頑張ろう。




浴衣に着替え、部屋に戻る。

すやすやと眠る、私の家族。


私の宝物。

私の幸せ。





そっと、布団に潜り、つぶやく。



ありがとうね💕

















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