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あなた色々

色鉛筆セットを買ってもらった時の
ときめきを覚えているかい?

24色、36色、72色。
たくさんあるセットであればあるほど、
心はときめいて鉛筆を手にする前から心の中に思い描く絵は
きらびやかな彩りに染まっていた。

けれど、
どんなにたくさんの色鉛筆よりも、
実際に自分が目にする世の中の色は、
あまりにも多すぎることを次第に知っていく。

数えきれないほどの色に世界は溢れているというのに、
シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの掛け合わせで、
ほとんどの色を再現できてしまう。
普段は目に見えない光も、
プリズムを通してしまえば7色にしか分けられない。

人の心も中もきっと同じで、
基本の色は誰もが同じものをもっていて、
その掛け合わせの種類の違いによって個性が違ってくるのだろう。

そしてシアンが得意な人、マゼンダが得意な人もいるはずで、
さらに関わった人からもらった色が
微妙に自分の色の種類に影響を与えて行く。

色が豊とかいて艶というように、
そんな掛け合わせの豊かさが、
その人の個性を深めて行くならば、
色が豊かな人ほど、自分の本当の色が
なんだかわからずに時に惑うのだろうか。

清純な印象を持つ淑女と、
淫らな色気を醸し出す遊女の掛け合わせ。
品行方正な堅物と、自堕落な遊び人の二面性。

いったいどちらが自分の色かわからない。

だからついつい、人に見せたくない色は
隠したくなる心理は当然だけど、
その隠したい色の美しさを理解してくれる人がいるなら、
堂々と見せたくなる。

どちらもあなたの本当の色なのだから。

だから、私には遠慮なく見せなさい。
妖しく、淫らに、いかがわしく、ふしだらに、

ほら、とっても綺麗な色をしているじゃない。

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