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2022年、某日。

長い一日みたいな一年だった。

ひび割れた心に日差しが当たるときらきら反射して、ステンドグラスのようにきれいだった。日曜であれば正義を唱え、忙しなく、着々と、わたしがわたしになっていく、朝。

日盛り、女盛り。素敵な音楽が流れる見知った街。古い御守りは猫のおもちゃに変えて、ギンガムチェックで涙を拭いて、ぬるいベッドで大真面目な顔をして、幾つもの意味を孕んだ愛を説く。

逢魔時。魔物に遭遇するだとか大きな禍いが起こるだとか信じられていたみたいだけど、あながち間違いではないのかもしれない。陽と一緒にわたしも落ちていった。薄暗い世界で誰の顔も見えなくなった。そろそろおなかが空いてきた。何かが、欲しかった。

寂しさを埋める焼き鳥、ぽっかりとかじられた胡麻団子、正常な思考を手放して飲んだシャンパンは今まで飲んだどれよりも苦かった。
じゅうじゅう、わたしの心はたこ焼きみたいに焼かれていって、穴にタネを流し込んで、具をぽとりぽとり落として、ひっくり返されて、中身がわからなくなって、食べられてしまえば最後、そこにはなにもなかった。
夜闇に降った千二十の星が、わたしの心に足跡をつけていった。

一日が終わる。
明日はどんな一日になるんだろう。

朝露に濡れた花は、置いて行くことにしよう。

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