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今日の地獄はカラフルだった


十人十色なんていうが、今日はその十色に殺されかけた。
わたしの濁った白に、致死量かってくらいの染料を垂らして、そこにまた別の濁った白が押し付けられて、押し潰されて、いびつな模様が浮かび上がっていた。
ばかげたデカルコマニーだ。 

デカルコマニーというのは、作者の意図しない偶発的な模様を得る技法で、大人から子供までだれでも簡単に作品を作ることができるらしい。

なるほどたしかに。

くすんだ茶色の上で、
親密さを示す緑と、
毎分誰かのお気持ちを運ぶ青と、
「さ」の予測変換で「寂しい」を選ぶ黄色と、
へんな形した慰めのピンクと、
紫煙を燻らす人たちのゆびさきの赤いマーキングに怯えて、
ただ溶けていく水曜日にダークモードより濃い黒を塗っていたら、
全く意図しないまだら模様のビビッドな地獄が簡単に生み出された。


こんなのきっと、フロイトもびっくりだ。
明日もまた、いろんな色を使って、
カラフルな地獄を無意識に生み出すのだろうか。

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