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ボーカルマイクについて

皆さんがスタジオやライブ、そしてレコーディングと普段何気なく使っているマイクロフォン、特にヴォーカルさんは歌を直接マイクで拾うわけですから、ある意味マイクが楽器みたいなものですよね。
そんなわけで今回はライブには欠かせないアイテム「マイク」の中でもボーカルマイクのアレコレです。

マイクには指向性(音を拾ってくれる方向と範囲)というものがあり、そこを外れると音を上手く拾ってくれません。
ボーカルマイクの代表SHUREのSM58だと、指向性は単一指向性で丸いグリルの上の方かつ、上から見てど真ん中を中心に指向性が広がっています。なので口を当てるときにはなるべくそこを目掛けて歌うように(口に対して水平に)するとマイクの性能を一番発揮してくれます。

また、指向性マイクロフォンには近接効果というのがありまして、簡単に言うと「音源がマイクに近づけば近づくほど、低音域が強調される」という現象です。

マイクの近くで歌う → 低域が効いた力強いサウンド、音量感も大きい

マイクから離れて歌う → 低域が抜けた軽めのサウンド、音量感も小さい

ということになります。
ボーカリストはこのような特性があるのを知っておいて、かつ利用するべきではあるんですが…なんならバンドのライブの時は基本オンマイクでいいと思います。  
こんな風にいってしまうと「なんて雑なヤローだ、わかってないやつ!」と思う人もいるかもしれませんが(笑)、アコースティックやアカペラ等周りに楽器がほぼ鳴っておらず、ボーカルマイクへの干渉が少ない場合や、バンドでも静かめな演奏の時、また大きい会場で他の楽器とそこそこ距離が取れている時なんかは近接効果をバッチリ体感できるはずですが、RIVERSTのような小規模ライブハウス位の会場でバンド演奏するときのようにすぐそばで他の楽器の音がなかなかの音量で鳴ってる状況では近接効果どうこう以前にまず歌が聴こえる聴こえないという方が重要な問題です。
またミリ〜センチ単位でも低音感が変わりますので把握して意識的に使いこなすまでがなかなか大変かも知れません。
なので、近接効果というものがどういうことか知ってもらいつつ、基本スタンスはオンマイクにして歌い方での表現をバッチリ入力させ、ソロパートやイントロ等、近接効果を発揮できる時に使った方がライブではオーディエンスにニュアンスが伝わるかと思います。

レコーディングの時はまた話が変わってきますのでエンジニアの方と相談しながら色々試すといいと思います。そもそもマイクがライブのそれとは違うはずです。

あと注意してほしいのが持ち方です。
良く見る光景ではあるのですが、マイクの頭の方(マイクの丸い金網部分)を手のひらで覆って持つ持ち方、これは全然オススメしません
包んだりしても決して声が大きくなったりしませんし、ボーカルマイクのグリルを手のひらなどで覆うとマイク本来の音の収音性能が変わってしまい妙な周波数が強調されハウリングしやすくなります。なので、こもったような抜けの悪い音になる上に、ことあるごとにピーピーハウったりして非常に耳障りになってしまうわけです。
しかもハウりやすくなるという事はモニターの返しも外音の歌のヴォリュームもあまり上げられなくなるということになります。感度の高いマイクならなおさらです。
出来るだけグリルの下の棒状の部分を普通に持つ様にして下さい。

また、「マイマイクを買おうと思うんですがオススメのマイクありますか?」とよくご相談を受けます。さっきからよく出てくるSM58の他にも同じSHUREのBETAシリーズや、SENNHEISERのevolutionシリーズ、audio-technica、TELEFUNKEN、AKG、beyerdynamic等々イケてるマイクは沢山出ておりますし、どのマイクがどの人にマッチするかは使ってみないとわからないと思いますから、好きなものを選んでもらっていいと思いますが、自分的にはなんだかんだでSM58が1番失敗しない選択なのではないかと思います。別に思い入れも何にも無いですし、某サイトのレビューにはなんでこんなマイクがスタンダードなのかわからないとか酷評されてることもありますが(笑)、それでもライブに関しては音質や耐久性にも優れたワールドスタンダードはやはり無難かなと。
個人的な意見で言うと、上記の大体のマイクがSM58よりゲイン高めでハイファイな印象です。レンジも広くいいマイクなのは間違いないんですが、例えばあまり声量の大きくない人がBETA58等を使ってライブをした時によくある事例で、ハイファイが故にボーカルを突くと歌以外にシンバルやら他の音を拾ってしまい逆にボーカルが抜けづらくなるという事が結構あります(同様な理由からドラムコーラスの声が小さい時にはどんなマイクだろうとこの現象は起こりがちです)。
後はSM58でスピーカーチューニングをされているPAの人が多いと思うのでライブ用に持ち込んで失敗しにくいのはやはりSM58だと思います。
ライブではマイクを使うのは本人ですが音を出すのはPAなので、歌い手側の意見とPA側の意見でまた色々と見方が違ってくると思いますから目を付けたマイクがあったら購入前に身近なPAさんとよく相談してみるのもいいと思います。

追記ですが、マイマイクをゲットした皆さん、使った後のマイクグリルは外して洗いましょう!
衛生面でも性能面でも汚れが溜まってるとよろしくありません。薄い中性洗剤やハンドソープでも問題なく洗えるのでお手入れはマメにお願いします!中にはBETA58の様にグリルとマイクのスペースがキチキチのものもありますから外す際は充分注意してください。

てなわけで、今回はボーカルマイクのアレコレ付いて触れてみました!

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