批評について(2):批評の分類法、「批評の良さをどう評価するか」についての意見の相違

【作者に寄り添った批評】:概ね「作品改善的」
・客観的フィードバック
ex.ラーメン屋が知りたいのは、ラーメンの材料や調理法ではなく(そんなことは知っている)、ラーメンがおいしいかどうか(どんな味がしたのか)ではないか
・意図や計画の探求
ex.意図や計画を正確に定め、それから逸脱しないように努力する。特に共同制作において顕著かつ有用

【中間的な批評】
・作者の意図を再構成する、可能な限りそれに近づける(歴史的探究、確率的探究、プロセス的)。作品の構成要素なども同様
(*構成主義的、反真理主義的ではあるので、いわゆる「作者の本当の意図」も考察の材料に過ぎない。あくまで、相対的真理の探求。)

【作者から独立した批評:エゴイズム系】
・自分の好みや価値観を間接的に語るための批評(エゴイズム、主観的フィードバック、世間話や雑談)。批評家自身のキャラクター付けの助けになる(役者としての批評家)
・批評家自身の意図や用途にかなった批評(一種のプラグマティズム:ローティ的?、これもまたエゴイズムのひとつ)

【作者から独立した批評:アルゴリズム系】
・機械的、アルゴリズムの探求。完全な評価形式を探すための材料のひとつ(ある物差しの完全性を示す)。改善されるのは物差しの方
・分類手法の探求。カテゴリーを分類し、そのカテゴリーの良さに従って批評する場合など(この方法は「作品改善的」になりうる)

※作者から独立した批評をどう役立てるかは、作者自身が考えればよいこと(プラグマティズム的放任主義)

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【批評の良さの判断基準】
・誰へ向けた批評なのか(誰の利害に沿った批評なのか)
ex.作者は客観的フィードバックを求めているかもしれないが、観客は材料や調理法を知りたがっているかもしれない:批評とは、誰のどの利害か、によってどの情報を渡すべきかが変わるゲームである。
⇒批評の良さの判断基準:「①誰へ向けて、②どの情報を、③どの利害に沿って、批評するのか」(一種のプラグマティズム)


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