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占いデビューと中学校教師2.0

「来るのが辛いなら休んじゃって全然大丈夫です。正直もう、学校へ毎日行かなきゃいけないっていう時代じゃないと思うんですよ。休んだ日はせっかくだから学校へ来てたら出来ないことして楽しく過ごそう!くらいでいいと私は思っています」

そんな発言が、まさか担任の口から飛び出すなんて思いもしなかった。まさに同じことを私も考えていたのだが、でもそんなこと言ったら引かれるんだろうなぁー言えないなぁーとか思っていた。

中学2年生の娘が学校を休むたびに担任と電話で話すようになって、1ヶ月ほど経った。はじめは、娘の家での様子を聞いたり時間割の変更などを教えてくていたのだけど、連続して休むようになるとフェーズが移るのだろうか。内容は変わり、学校内の別の教室への登校や、スクールカウンセラーの元へ話をしに来るだけでも出席としてカウントできることを教えてくれた。「方法はいろいろありますから」と言われ、柔軟に対応してもらえるんだとホッとした反面、あくまでも学校へ来れるようにということなんだよなと感じた。そりゃあ、学校の先生が「来なくてもいいよ」とは言えないか、と。

学校へ行きたくない日は教室以外でも行きたくないし、っていうか学校へ行くなら普通に教室へ行く。と、娘には先生からの提案は響かなかったらしく、登校したりしなかったりの日々を繰り返す。フェーズはまた少し移行して、そもそもの学校へ生きづらくなった原因の一つを、担任は解決したいと言ってくれる。そうすれば学校へ来やすくなるんじゃないかと考えてくれたのだ。その熱心さは心からありがたく、心強い。でも、その思いは子供へのプレッシャーになりそうで気がかりでもあった。

私はといえば、担任からの電話がちょっとしたストレスにも感じていたのだけど、ここは!と気合を入れた。先生の対応は大変ありがたい。でも、もし学校へ行き辛かった空気が変わったとしても、行きたくない要因は一つではない。行ける日は行くし、行けなさそうなら休む。「そんな感じでいきたいなと思ってますが、どうでしょうか?」脇汗かきながら、日頃主張しなれていない私なりに、娘の意向を伝えた。そして「いいと思います」で始まる先生の返答が、冒頭のものである。

中学校の教師、し、し、進化しているーーーー!

そんな時代じゃないとか、楽しく過ごそうとか言っちゃうんですね!予期せず、中学校教師へのイメージが大きく刷新されることとなった。驚いて脳内がフリーズしかけて、「そ、そうですか」とか間の抜けた返事をするのがやっとだった。教師も時代とともに変わろうとしている。学校の先生はどうせ学校へ来させようとするものだと、思考をストップさせて決めつけていたのは、私の方だった。

悩める娘が、はじめて占いをしてもらった。占いというものをしてみたいと言っていた矢先、たまたま立ち寄った街のイベントで、占いのブースを見つけたのだ。自分のお小遣いでしたいという娘に、10分800円というリーズナブルな料金はもう運命だった。

タロットカードと星占いによるその鑑定結果は、隣で聞いていた私も驚くほど今の娘にぴったりな言葉に思えた。今置かれている状況、どんな星のもとに生まれたか、こうしていけば道が開けていくということを丁寧に具体的に教えてくれた。それは、いい方向へ進んでいけるようにと願いを込めてくれているようで、占われていないのに私が不覚にも泣きそうになる。次に待っている人がいなかったのもあってか、中学生の占いデビューを祝うような大サービスで、20分を越えていたのに占い師は800円しか受け取らなかった。言われたことを忘れないようにと、帰り道に必死でスマホにメモしていた娘。親以外の人からの言葉は、たくさんの刺激を与えてくれたようだった。

親としてどうにかしてあげたいと、気負っていたところがあったのだと思う。でも、意図しないところから手は差し伸べられる。子供の気持ちをくみ取って理解しようとしてくれる人がいる。私はもっと肩の力を抜いてもいいのだろう。占いの帰り道に、固定観念を覆してくれた担任との電話を終えた後に、自分の意思で進んでいこうとする娘へ追い風が吹いているような気がした。

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