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人工知能関連特許出願の状況-特許庁「AI関連発明の出願状況調査2021年版」-

「知財情報を組織の力に🄬」をモットーに活動している知財情報コンサルタントの野崎です。

特許庁では2019年から人工知能関連特許の出願トレンドについて毎年公表しています。

昨日、2021年の最新版が公開されました(こちらのURLは固定のため、2022年夏以降に閲覧いただいていると2022年の最新版になっています)。

本調査では以下の①AIコア発明と②AI適用発明を対象としています。

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ちなみにAIコア発明で用いているG06N(特定の計算モデルに基づくコンピュータ・システム)ですが、G06N10/00が「量子コンピュータ,すなわち量子力学的現象に基づくコンピュータシステム」で量子コンピュータ関連の特許分類であるため、AIに含めて良いのか・・・?と疑問に感じるところです。そのうちG06N10/00はAI関連特許分類から除外するのではないかと思います。

それはさておき、AI関連特許出願の中でも①AIコア発明(=G06N)のグローバルトレンドを見ると、2017年は米国と中国がほぼ拮抗していましたが、2018年には中国が3,000件ほどの差をつけてトップになっています。

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知財業界の方でないと2021年に発表された資料なのになぜ2018年が最新なんだ?と思うかもしれません。

特許は出願してから1年半(18か月)後になって初めて公開されます。よって、この記事を書いている2021年8月31日時点で発行されている公開特許は1年半前、だいたい2020年2月ごろに出願された特許になります。各国の出願データの収録状況などを考慮して、確実に1年間データが取れている2018年を最終年にしているのだと思います。

残念ながら、日本は日米欧中韓+PCTの中で最下位となっています。

もちろん出願件数が多ければ良いというわけではありませんが、出願件数が一定のパワーを持つのは事実です(特に情報通信やエレクトロニクス分野では)。

日本だけの①AIコア発明+②AI適用発明の出願トレンドを見ると、

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のように第3次人工知能ブームがはじまった2015年ごろから急増しています。ピンク色の棒が①AIコア発明+②AI適用発明で、黄色の棒が①AIコア発明になり、いずれも急激な増加です。

企業ランキング(2014年出願~2021年5月公開)を見てみると、

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トップはNTT、2位が富士通、3位が日立製作所とAI関連ニュースでよく聞く企業名が並んでいます。海外企業の日本へのAI関連出願はあまり多くはありませんが、サムスンやクアルコム、フィリップス、グーグルなどが上位にランクインしています。

またベンチャー・スタートアップとしてはプリファードネットワークもランクインしています。

AI関連特許出願状況を把握するのにとてもコンパクトで良い資料ですので、ぜひともご覧いただければと思います。

また、特許調査や特許分析に従事している方は、報告書の別添に

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のようにAI関連特許分類やキーワードなどが掲載されていますので、これからAI関連特許について調べたい、分析したいという方には母集団検索式を作成する際の参考になると思います。

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