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きもの|私が着物をまとう理由

日本が好きだ。
日本の文化も伝統も。

だから,それをまとえることは,すごく幸せだ。


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私は着物が趣味で,休日に着物を着ることを楽しみにしている。

この前,職人さんと話す機会があった。
その職人さんには,去年も会って,いろいろとお話をした。技法のことはもちろんだけれど,どっちかっていうとExcelが苦手なんだって話の方が長かった。作るだけではなくて,事務仕事もしなくちゃいけないのね。


別になんてことはない話だ。
だけど,私はその職人さんが好きだ。


人柄に魅かれるものがある。挑戦的な姿勢も好きだけど,それ以上に人として魅かれるものがある。うまく説明できないけれど,また会いたいと思える。すべての作り手にそう思うわけではない。何かを生み出すという行為は愛おしい。だけど,だからといって,すべての作り手に魅かれるわけではない。よくわからないけれど,私はその職人さんが好きだ。


だから,その職人さんの着物が着たいと思った。


昨年もいくつか検討したけれど,どうしても似合うもの,気に入るものが見つからなくて,見送っていた。どれだけ職人さんが好きでも,物が気に入らなければ,それにお金を出すことはしない。それがお互いのためだ。


今年は,気に入るものがあった。


持っていない色柄で,私にとっては新しい一着になる。だけど,今ある帯と合わせて着ている自分が想像できる。そして,その着物を着ている自分にわくわくできる。


着物は決して安くはない。
リサイクル着物も持っているけれど,こだわって選んだ自分の着物の方が愛着がわく。そして,日本の伝統をまとえる幸せを感じられる。30年,40年,もしかしたら50年,今の着物と付き合うことになるかもしれない。私には,お金以上の価値がある。他には代えがたいものたちだ。


私が着物を着るのは,日本の伝統を愛おしく思うからだ。


衣服としての意味だけではなく,ファッションとしての意味だけではなく,そこには脈々と続いてきた技がある。それが愛おしい。


着物を着始めようと思ったとき,最初は義母にもらったウールの着物,リサイクルショップで買った着物から始まった。着物の作り手を意識することはなかったし,着物は洋服の延長として,衣服の一つでしかなかった。

そういう楽しみ方だって,いいと思う。

和洋折衷のコーディネートを楽しむのだって,立派な楽しみ方だ。タートルネックに着物を合わせることもある。この前は,インド刺繡リボンを半衿にしてみた。羽織紐は手作りしている。帯留めも手作りしたい。

きっと最初から作り手を意識していたら,「着る」というハードルを越えられなかったかもしれない。私の最初は,タートルネックに着物を着て,スーパーに行ったことだった。洋服と何も変わらない。


どんなふうに着物を楽しみたいか,その解像度が上がってきた。
何にこだわるか。何を大事にするか。どのように向き合うか。


来週は春の陽気になりそうだ。
あの単衣を着よう。



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