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【商工中金×アナザー・ジャパン商品開発プロジェクト】宇和島の真珠と愛媛の工芸で、世界にたったひとつだけのアクセサリーを。

こんにちは。2期生セトラー、チュウゴクシコク担当の三宅川ほの花です。
柑橘コンサルティング、蛇口みかんジュース、経営公開会議などの大きなイベントを終え、現在アナザー・チュウゴクシコク展折り返し地点にいます。

すでにアナザー・チュウゴクシコク展にご来店くださった方ありがとうございます。おかげさまで前半店舗売上目標、221万円を達成できましたことをここでご報告させてください!

今回は宇和海真珠さんとの共同開発した
真珠と愛媛の工芸品のコラボアクセサリー
「hitotsubuto」の誕生秘話を綴らせてもらえたらと思います。


商工中金×アナザー・ジャパン共同商品開発プロジェクト

今回の商品開発は、アナザー・ジャパンのサポーター企業である株式会社商工組合中央金庫(以下、商工中金)との共同プロジェクトとして進めてきました。

「アナザー・ジャパンとの出会いをきっかけに、新しい挑戦に踏み出す地方の中小企業を増やしたい」という想いから始動した本プロジェクト。商工中金がクライアントから商品開発に挑戦したい企業を募り、中川政七商店が商品開発講座を提供することで、商品開発に向けた準備を行いました。

2023年10月から11月にかけて行われた全3回の講座を経て、チュウゴクシコクエリアから1社、チュウブエリアから3社、計4社の地域メーカーがそれぞれセトラーとタッグを組み、商品開発に取り組んでいます。


宇和海真珠さんのご紹介

今回私がコラボさせていただいたのは愛媛県の宇和島市にある「宇和海真珠」さんです。

日本で採れるあこや真珠の三大産地は
愛媛県の宇和島、長崎の壱岐、三重の伊勢。
この養殖の産地の共通点は、地形がリアス式海岸で内海、穏やかな場所ということです。
産地によって真珠の粒の大きさも異なるのですが
伊勢志摩は5mm台以下、長崎は6mm-7mm台、宇和島は大玉が多く7mm-8.9mm。
稚貝の大量死で長崎に抜かれるものの、愛媛県宇和島市の真珠の生産量第2位を維持し続けられています。

そんな国内有数の生産量を誇る愛媛県宇和島で、
浅葱色の海が広がる場所。

そこで採れる真珠を人の目と手の感覚によって一段と増して輝く「一粒」にするのが宇和海真珠さんです。

形が異なる真珠たちを並べる作業

宇和海真珠の代表取締役社長である松本哲哉さんは
「弊社の強みは”トータルアコヤカンパニー”、あこや真珠に関してのお問合せなら絶対にNOは言わない」と言います。

その言葉通り様々な挑戦をこれまでもされていて、特に「あこや真珠ガチャ!」を日本各地に設置していることで知られていますが、それも真珠に触れる機会をつくりたい!それを入り口に、真珠を身につけてもらいたい!という想いから始まったものです。

ガチャを通して真珠との偶然の出会いを生み、その楽しさが真珠を身に着けるきっかけになっているなというように思います。

hitotsubutoができるまで〜バックグラウンドと向き合う〜


今回、このプロジェクトに参加させていただくにあたって、私が1番に考えたのが、大学生が商品開発をする意味とは?ということでした。
大学生がやるからこその価値を商品開発に見出したい。

①私自身のバックグラウンドにフォーカスを当てること。
②私が学んでいる学問と結びつける
たくさん考え、この2つを軸にしつつ、松本社長の「真珠を身に着けるきっかけをつくりたい」という想いと重なる商品づくりに取り組みたいと思うようになりました。


宇和海真珠の松本社長をはじめ、商品開発のアイデアを共有する姿

これは個人的な話になってしまいますが、自分自身の企画展仕入れと商品開発の期間が重なっていたため、出張中のバスの中でも必死になってアイデアを考えていたことを思い出します(笑)

リサーチを進める中で、アクセサリーを通してどんなことを伝えたいかを改めて整理しました。

高知に向かうバスの中でMind mapをつくる


①高校時代のアメリカへの交換留学から

高校生の時、私は1年間アメリカへの交換留学の切符を手にしました。
そのアメリカ留学は自国の文化を外から「鏡」のように見る機会となり、
私自身、「各地に残る日本の手仕事を知らない」
また日本人にとっても「地域に根付いた日本の手の技について目を向ける機会が少ない」と失われていく日本の手仕事に危機感を覚えるようになりました。

今回の商品開発は日本の文化に目を向けるきっかけになるように、
また今の時代に沿ってカジュアルに和を取り入れられるようなアクセサリーにしたいと思いました。

②開発で感じた壁

私の大学は、幅広い分野を勉強するのですがその中で一番興味を持っている分野が「ジェンダー研究」でした。
答えがない問いにより良い答えを求めようとしながら、研究を深めていく過程が好きで、授業が終わった後の帰り道は友達とそのテーマについてのディスカッションを行うくらい熱中してきました。

ジェンダーで分類しないアクセサリーが作りたい。
絶対にこれだけは実現させたい!!!

そう決めた時に、
どのアクセサリーを選ぶか(ピアスなのかネックレスなのかなど)、
デザインや色は何を選ぶのかと考え始めたのですが、
想像していた以上に、オールジェンダーに着用してもらえるアクセサリーの実現は私にとって難しいことでした。

性別というターゲット層を絞らないことでお客様が求めるような商品展開にできない不安が残り、短期間での商品開発では実現させることができませんでした。

しかしながら、細部のデザインや商品名を通して、少しでも「ジェンダーで分類しないアクセサリーが作りたい。」という想いが実現できるように工夫しています。

真珠と愛媛の工芸を掛け合わせたアクセサリーが誕生

真珠×砥部焼

砥部焼をつくる器工房巳さんとは、もともと商品をお取り扱いさせていただきたいと思っており、商談のためのご連絡をしたことからご縁が始まりました。
器工房巳さんの器の商品をアナザー・チュウゴクシコク展でお取り扱いしたいとの意向はすでに宇和海真珠さんにお伝えすると、それは今回の商品開発で作品とコラボできる可能性があるのではないかと提案してくださり、真珠と工芸を掛け合わせたデザインのアイデアが生まれました。

愛媛の砥部焼は、100くらいの窯元さんが点在します。
私の実家でも使っている食器は、全て砥部焼というほど、
幼い頃から砥部焼に日々の暮らしを支えてもらっていました。
愛媛県伊予郡砥部町は磁器の原料に恵まれ、白磁に藍色の染色を施しているのが砥部焼の特徴。
今回お取り扱いしている器工房巳 加藤雅巳さんの作品は、
練り込みという技法で制作されています。その技法で生み出す器に同じ作品はなく、全てが一点ものです。

何枚にも積み重なる器


作品の模様を生かせられるようにあえて釉薬を使わず、
最後に磨き上げをしてマットな質感に仕上がっています。
私はその噐工房巳さんが手がけるデザインに一目惚れをして仕入れたいと思いました。

唐草柄は砥部焼の象徴なデザインですが、
みんなが取り入れる必要はないんじゃないか。
そう加藤さんは教えてくださいました。
伝統を守りながらも砥部焼の新しい挑戦をしている姿に感銘を受けています。

完成した”真珠×器工房巳(砥部焼)” の名前は
「hitotsubuto 燦」


「hitotsubuto 燦」


「燦」とは鮮やかに輝くさま。
同じ表情はひとつとしてない。
かけらのひとつひとつが個性であり、ひとつひとつが輝きに。
そんな想いが込められています。


「hitotsubuto 燦」着画

真珠×伊予水引

宇和海真珠株式会社デザイナーの長袋さんがひとこと、
「養殖の網を表現できたらなあ」
そのようなことをこぼした際
細長い紐で結べるという要素から、伊予水引との掛け合わせのアイデアが思い浮かびました。


話はまた高校時代の留学の話へとさかのぼります。
交換留学機関が「小さな親善大使」として世界平和に寄与するという前提だったため日本文化の理解を深めてからアメリカに行こうと考え、
愛媛県の四国中央市紙の産地で始まった伝統工芸品「伊予水引」を勉強したい!と父に今村紙工さんを紹介してもらい「伊予水引金封協同組合」を訪れました。
愛媛県の伝統工芸品を海外の人に知ってもらいたいんだという想いに共感してもらい、ご厚意でたくさんの水引をいただいたことを鮮明に覚えています。
そこから毎日のようにむすびの練習をし「水引検定」も取得いたしました。

そんな背景を経て、私はアメリカに飛び、実際現地の小学生や友達、ホストファミリーに「伊予水引」を教えることになります。


そんな、私にとっても思い入れの深い伊予水引を商品開発で生かせると決まり、その当時お世話になった今村紙工さんにご連絡を差し上げました。
その時今村さんがご紹介してくださったのは伊予水引組合「MIMUS」のブランドのデザイナー月岡彩さん。

月岡さんと何度か打ち合わせをした際に私が商品開発で伝えたい想いなどをお伝えしました。月岡さんが提案してくださったのは
①伊予水引を真珠の色に近づけること。
他の、水引を用いた真珠アクセサリーは、真珠を目立たせるために
白色とは異なる水引の色を合わせますが
今回は私が性別を問わないアクセサリーが作りたいという想いを汲み取ってくださり、ボーダーレスをデザインにて表現できるように
真珠の色に近づけた伊予水引のお色を合わせております。
②真珠養殖を想像できるように
今回商品開発した伊予水引のアイテム数は2つあり「貝」と「波」をそれぞれ表現しています。
母貝から真珠がつくられる背景に注目し、また宇和海の波打ちを表せるように揺れるアクセサリーにしました。

完成した”真珠×MIMUS (伊予水引)” の名前は
「hitotsubuto 綯」


「hitotsubuto 綯」

「綯」には糸をよる、より合わせるといった意味があり、この言葉から水引を綯っている手仕事の姿が思い浮かべられます。
また、ひとつにより合わせるというのはまさにボーダーレス。
そこには垣根がなく、何本かの水引を結んでいくことによってひとつの形が生まれます。


「hitotsubuto 綯」着画


hitotsubutoから伝えたいこと


私の中の日本の価値とは?の着地点
日本の美とは、非対称や偶然を重んじることだと私自身は感じています。
あこや真珠・砥部焼・水引のすべてが精巧な手仕事であり、それらには決して同じ形、色、大きさのものが存在しません。そこで生まれる非対称性や偶然性は手仕事ならではの価値であり、そこにつくりての個性や想いが宿っている気がします。

「hitotsubuto」

何一つとして同じものは存在しないように、
唯一無二の「hitotsubu」と同じように、
あなたもあなただけであって。
そのままで。あなたらしく。
そのような意味合いを込めて「hitotsubu」に。

「to(と)」は「&」。
器工房巳(砥部焼)やMIMUS(伊予水引)に想いを馳せて。
販売を始めてから、お客様に「自分もものづくりに携わっているが、違う業種のひととコラボしてものを作ることはハードルが高いと感じていました。学生が入ることでそれが実現できているのだとしたらすごく素敵ですね。」とお言葉をいただきました。
ずっと考えていた学生が商品開発を行う意味を、お客様からの言葉で改めて気づかせていただけたことはとても有難かったです。

この「hitotsubuto」が真珠や愛媛の工芸の魅力を伝えられるきっかけになったらとても嬉しく思います。
「世界にたったひとつだけの」「あなただけの」に出会うお手伝いをさせてください。



今回のライター:Honoka Miyagawa


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