白のイメージ #色のある風景
「暑い、暑いな~」
初夏のある日、私はパソコンの前で苦悩していた。
記事を書く指が一向に進まない。それを、暑さのせいにすることにしていた。
頭を動かそうと頭をかいた。机の上に落ちた私の髪の毛は白だった。
私は黒が好きだ。
黒にまみれていたい。
しかし、私は真っ白だった。
「燃え尽きた…真っ白やわ…」
燃え尽き症候群の色は、白だ。
机の上に存在する1本の白い髪の毛が、私の苦悩を表している。
白は嫌いだ。何より明るい。私に白は似合わない。
この日も、頭の中は白くて、ベランダから差し込む光も白く眩しい。
白はどういうイメージを持つか。
嘘っぱちの純白だ。人は基本、嘘つきだ。白なんて似合わない。
清純な白を地でいくような女性など、この世に存在しない。
世の中は、様々なダークな色で満ちている。
それを少しでも白を混ぜて、明るくしようとしている。
これが現実の社会だと子どもの時から思っている。
赤に白を混ぜればピンク色。
青に白を混ぜれば水色。
黄に白を混ぜればレモン色。
黒に白を混ぜればグレー色。
どれも、爽やかな色になる。
黒い部屋に閉じ込められても平気だが、白い部屋に閉じ込められたら発狂する。
私は、そう感じている。どこかに黒が必要なのだ、人と一緒で。
人には闇がある。だからこそ、白で中和しようとする。
白は人間のマイナスの部分を見せたくないため、偽りの自分を見せようとするため使われる色だ。
そんなことを考えていると、余計に何も書けなくなってきた。
私は、ベランダに煙草を吸いに外へ出る。
煙草を1本、人差し指と中指で挟んだ。
これも、白だ。体にいいとでも思わせさせる気か?
私は白い煙を吐いた。煙は空中で白から風景に溶け込んでいく。
白なんて、所詮はまやかしなのだ。
ふと、私は向いのベランダの洗濯物に目がいった。
見てはいけないと思いつつも、衝動は抑えられない。
それには、レースが施されていた。
「しかし、まあ、白は嫌いだが、黒よりも白のほうがいいかな」
私は煙草を消して、少しだけ白を許そうと思った。
三羽さま、よろしくお願いいたします😌✨
#色のある風景
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