【都知事選2024】チーム安野の選挙戦を振り返って〜メンバーのKPTを公開〜
2024年7月7日は東京都知事選の投開票日。今回、安野たかひろは残念ながら都知事には選ばれませんでしたが、15万4638人ものみなさまから思いを投じていただくことができました。
今回の都知事選は、安野をリーダーに「チーム安野(あんの)」として走ってきた選挙戦でした。そんな選挙戦は率直にどうだったのか?何が良かった点で、何を改善すべきなのか?
記憶がフレッシュな間に振り返りをするため、そして開票の瞬間をチームで迎えるため、7月7日の投開票日にメンバーが都内の貸しスペース(+オンライン)で集まり、4時間にもわたる振り返り会を実施しました!
▲想像以上のガチな雰囲気に困惑するメンバーも...!
▲会の終盤には記者さんにもお越しいただけました
今回の記事では、7月7日の振り返り会でそれぞれのメンバーが発表したKPT(Keep/Problem/Try)を公開いたします!メンバーの熱い思いが結集した結果、振り返りの分量は文字数にして3万字超え、項目は518にものぼりました。
このnoteではその内容をギュッと凝縮して、お伝えいたします!
※なお、このKPTは各チームの活動の振り返りを主目的としています。選挙戦略の総括・振り返りはこれからデータの分析を行いながら進めていきたいと考えています。
■組織・全体
Keep
安野式リーダーシップ(安心性・柔軟性・即断性)のもと、機動的に動けた
「誰も取り残さない」というメッセージがチームの指針として一貫して機能した
「胸を張れないような発信・行動は控える」という行動方針がうまく伝わり、モラル高く行動できた
クリーンな選挙ができた
各チーム、メンバーが自主的・主体的に動いていた
問題や悩みをスムーズに共有できる問題解決志向、心理的安全性がチームカルチャーとして浸透していた
ポジティブな雰囲気だった
毎日決まった時間にオンライン会議を行ったことがメンバー間のコミュニケーション促進とともに、迅速な判断にも機能していた。直接顔合わせできなくても距離が縮まる気がした。
Problem
チームや個人の連動はすごかったが、それは各々のスキルが実現させた属人的なもので、仕組みで解決したわけではなかった気がする
貢献したい気持ちはありつつ、情報の流れが早くて乗り切れなかったメンバーもそれなりにいたように感じる
女性メンバー(海外で活躍、子育て中など)、エンジニア、ビジネスパーソンなどのメンバーがいたことを発信しきれなかった
シンプルな準備期間の短さ
やるべきタスクに追われて、他陣営の動きや有権者行動の分析・洞察といった、外向きのアンテナに十分なリソースやマインドシェアが割けなかった
チームメンバーのオンボードプロセスとサポート。自己紹介チャネルで一定カバーされてはいたものの、お互いの顔すら分からないまま加わったメンバーもいた
Try
組織やノウハウのマニュアル化
もっと早くいろいろ準備すべき、組織化にはそれなりに時間がかかる
オンボーディングプロセスを整備する(新しく入ってきた方が実際に活躍しはじめるための道を整備する)
安野さんの信念を保ったまま、「選挙に勝つ」こと。そのための戦略立案と準備を次回の機会に向けて今から考える
■街頭演説・イベント
Keep
17日間で54回の街頭演説をすることができた
戦略を柔軟に転換できた(ポスターの増刷、ビラは当初無しの方向性だったが中盤に印刷の意思決定)
演説をやらない選択肢もある中で、接点最大化のために演説をしっかりやっていく方針を選んだことはよかった
初の個人演説会だったにも関わらず、たくさんの方々に来ていただけた
路上演説の運営で、メンバーで柔軟に連携して、全ての会で問題なく運営しきった
友人が順番に登壇して応援する形は、他の候補にはないチームの魅力を表現していてかなり好評だった
大島でも演説することができた
Problem
選挙活動への解像度が低く、どういう作業が必要になるのか事前に把握できず、やりながら改善していかざるを得なかった
路上演説の運営メンバー(ボランティアの方を含む)の組織化
スピーチ内容を演説地域に合わせて変更するなど、期中にさらに磨き込めればよかった
応援演説の演者や配信ゲストの属性に偏りがあった。チーム内の実際の分布をもっと反映させられるとよかった
最終日に安野が漏らしそうになっていた(トイレの危機)
Try
支援者が集まれる物理的な事務所があればよかった
もっと良い選挙カーと、もう一台車を借りたい
属人的な確認になりやすかったため、演説終了後のチェックリスト遵守と複眼での指差し確認などのマニュアル運用を整備する
ビラは広げなくても顔と名前がわかるように配置・二つ折りなども検討してもよかった
トイレにこまめに行く
■政策
Keep
行政のあり方、政治のあり方に強いメッセージを出せた
100名以上の有識者に話を聞き、最終的には130ページの骨太のマニフェストを作りあげた
「アップデートするマニフェスト」という新たな概念に挑戦できた
早稲田大学マニフェスト研究所からトップ評価を得られた
GitHubが想定以上にワークし、議論が活発化した
GitHubや #TOKYOAI の意見を参考に男性のHPVワクチンの全額助成、子育て支援の所得制限撤廃などについて盛り込めた
Problem
参加型マニフェストは意義ある取り組みだと考えるが、その目的や参加方法が十分に伝わり切ってなかった
全体的にかなり中身のあるマニフェストになったとは思うが、弱かった分野もあった
GitHubからスライドへの移行が大変だった
マニフェスト ver2.0の公開を盛り上げきれなかった
政策の数が多くなったので、有権者の方が中身を精査しきれない可能性があるため、関心のある政策にたどり着く仕組みが必要
選挙活動最終日になるにつれ盛り上がりや注目は一定高まったが、話題化する前に期日前投票した方にはマニフェストの詳細が届いていなかった可能性がある
Try
リーダー+αでチームづくりをする期間を作れるのが望ましい
体制をより充実させる。校正担当や全体の整合性作りにコミットする人がいる体制が望ましい
チーム安野がカバーできていなかった政策についてのアドバイザーを確保し、より都政の課題を網羅する体制にする
よりスピード感を持ってマニフェストをアップデートし、広報したい
安野たかひろマニフェストの中での政策マッチングがあってもいいかもしれない。属性、気になるテーマ/関心を選ぶと関連政策がその人向けに表示されるようなもの
政策のアップデートは選挙期間外も継続できると良さそう
■プロダクション
Keep
選挙ポスター、グラデーションはかなりワークした。明るく、爽やかな、未来的な印象は伝わっていた
選挙公報確定時に政策5本柱と #TOKYOAI を確定し、政策骨子とキーコピーが揺らがなかった
刻々と変わる状況の中でチームとして機動的に対応できた
ルール(公職選挙法や既存の選挙の仕組み)の中で効率的に最大限のバリューを出すことを考え続けた
「AIあんの」やポスターマップなどのプロダクトを通じて、選挙期間中に実績を出し、有権者にわかりやすく示せた
チームが素晴らしく、ポジティブな雰囲気だった
Problem
ビラの消費量に応じて柔軟に増刷できたが、結果的にコストが高くついた
SNS用の政策カードを出すのが遅すぎた
メッセージのPDCAを回せなかった
最後まで有権者に届ける強い言葉を定めきれなかった
突発的な制作が大変だった
Try
ビラを最初からまとまった分量を刷る
チーム安野のGoogleグループを作り、共有設定を統一する
デザイン制作は最初からFigmaで作り、誰でも編集できるようにする
政策とは別に、政治思想を磨き込む
コア支持層を明確にする
■SNS
Keep
チームの熱量とコミットメントが素晴らしかった。臨機応変で即時的な投稿ができた
メンバーがインド、シンガポール、欧州、米国にいるグローバルチームで稼働時間をずらして柔軟に動けた
告示前は全投稿リーガルチェックあり、開示後数日はメンバーのピアレビュー、基準が擦りあったところから各自が自己判断で投稿、というグラデーションが適切かつ効果的だった
候補者のスタンスを重視して、XのALT対応を意思決定でき、それがポジティブな反応につながった
「やります!」「まかせた!」「GO!」といったSlackのスタンプのポジティブなキャッチボールが心地よかった
チームリーダーの的確なディレクションが動きやすかった
安野が大学時代に出演した演劇のことを思い出して本人に伝達。配信で話した小ネタ(アメダス!)をコンテンツとして拡散させることができた
Problem
素材はたくさん集まったが、特に動画の加工・編集コストが高かった
Instagramはもう少し工夫できた。チャネル毎の適正をもう少し考えたかった
「今やること」「やるべきこと」に追われ、次の計画や仕込みなど能動的なコンテンツ作成が遅れた
Xのバズを早めに生み出せなかった
安野の人柄を十分に発信しきれなかった
選挙活動ができる期間は決まっているため、最後の2〜3日の投稿が渋滞していた。素材があるのに投稿できないのが歯痒かった
Try
早めに計画とリソース確保を行う
スマホ写真も構図や撮り方をチームとして整える
Instagramに特化した素材やインフルエンサーとのコラボを練る
メンバーのそれぞれのSNSアカウントも可能な限りフル活用する
選挙ルールを把握した上で戦略設計を行う
動画制作体制は、しっかり構えておきたい。アウトソースするか、ボランティアの方にフォーマットを定義して最初からお願いしておくか
■デジタル民主主義実装
Keep
テクノロジーによって社会システムは効率化できるということを選挙期間中に体現することができた
お金ではなくテクノロジーの力で課題を解決できた(ポスター貼りなど)
メンバーが自律的に動ける方ばかりだった
システムの改善をユーザーフィードバックから回し続けることができた
「AIあんの」をほぼ停止期間なく配信しつづけることができた
発信系の施策にトライでき、テックブログを合計13本書くことができた。おそらく選挙チームがテックブログを書くこと自体が日本初だし、この選挙期間内に日本一テックブログ書いた組織になれたと思う。
GitHubのissue重複チェックがうまくワークしていた
ブロードリスニングによってみんなの声を聞く姿勢が好感された
TTTC(Talk to the city: 多くの投稿を可視化するプログラム)など色んな新しいテクノロジーや手法が公知になった
優秀なメンバーと働けたことが財産となった
Problem
各種施策について数値計測まではできていたが、それをもとにしたPDCAを回すことはできなかった
「AIあんの」のメンテナンスが個々の情熱だよりになってしまい、体系化できなかった
準備期間が短かった。AI/ML周りの技術が凄い一方で、Youtube Liveを介した「AIあんの」のUXを改善する施策はさらにあったと思う
プロトタイプ時点では音声合成部分に政治利用NGのライセンスのライブラリがあり、公開に向けて急いで交換しないといけなかった
GitHubで選挙活動最終日に駆け込みissueが30件あり、拾う時間がなかった
TTTCにまだまだ工夫の余地があったと感じた。内部プレビューは30件以上作ってあったが、公開プロセスにボトルネックがあった。
Twitter APIが高額だった
一部のシステムが一人のエンジニアのみによって構築され、単一障害点になってしまっていた
回答改善のために質問を抽出するプロンプトの試行錯誤をする時間がなかった
Try
準備を前もって始める。システム開発が伴う施策は公示日の2ヶ月前くらいからは始めておきたい
様々なアプリケーションから指標を気軽に集められる場所があった方がよかった
システム開発が伴うものは、ライセンスチェックをマストにする
新しいシステムは最低2人付ける
よりよいブロードリスニングのツールを作る
次回の選挙戦では他陣営を観察するチームを作りTTTCで手助けする
■経理
Keep
無駄な支出がほぼなかったと思う。要所要所、特に大きい出費はいずれも認知度向上に資するものだったと思う(ポスター増刷、選挙カー、大島訪問)
会計noteは作業面でもリスク管理でも負荷が高かったが、反響がすごかったので、世に出せてよかった
Problem
寄付金がいくら集まるかが不透明な中で全体の予算を決めたり、やること・やらないことを決めるのは難しかった
選挙会計のルールはネット選挙に対応していないと感じることが多かった
Try
限られた予算の中で、認知度向上にもっとプラスになる支出があったのではないか?分析する必要があると思う
■ポスター
Keep
Problem
ポスターを貼るのは思ったよりも難しい(ハシゴがないと貼れない、風で飛ばされる、地下にある、落書きされる)
Try
Mapアプリのアップデート、マニュアル化
ポスター受け渡し拠点が転々としてしまった、物理事務所があれば拠点として使えた
おわりに
以上、投開票日にチームで行った振り返り(KPT)の内容を公開いたしました。
改めまして、今回の東京都知事選において、ボランティアの方々、安野たかひろに投票してくださった方々、これまで応援してくださった方々、皆さまからのご期待に応えられず残念に思っております。
しかし、選挙期間中のみなさまとの対話を通じて、我々は新しい選挙のかたち、新しい政治参加のあり方を提示できたのではないかと考えています。
今回はメンバーの振り返りの内容を公開しましたが、今後都知事選でチーム安野が制作したシステムやデータ分析についても、順次公開を進めてまいります!
まだまだ安野たかひろの挑戦は続きます。
皆さま本当に、ありがとうございました!これからもどうぞよろしくお願いいたします。
▼安野たかひろ本人X
https://x.com/takahiroanno
▼事務所公式X
https://x.com/annotakahiro24
▼YouTube
(2024/7/10 20:45追記)頂いたご指摘を踏まえ、一部表現を修正いたしました。リリース直後よりたくさんの方にお読みいただき、改めて御礼申し上げます。