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フリー雀荘の数は多すぎると思う4つ理由

筆者は、2月下旬のフリー雀荘摘発のニュースを受けて、

という記事をnoteに公開し、思いがけず多くの方々にご覧いただいことから第2弾


を公開した。

そこでは、シカゴ市内に ピアノ調教師は何人いるかみたいなノリで全国の フリー雀荘の数を考え、 「1500軒から2500軒の間、大雑把に言ってだいたい2000軒くらい」と推定した。言っていることは数字だけで、2000軒という数字に対して良いとか悪いとかということは何も言っていない。

この記事は、そこからもう一歩踏み込んで、フリー雀荘約2000?軒という数が多すぎるのか 少なすぎるのか それとも 適正なのかを考えたい。

日々、麻雀愛好家のためにたいして儲からない雀荘というサービス業に従事されている方々には誠に申し訳ないが、結論を先に言ってしまうと フリー雀荘の数は多すぎる。

理由は4つある。

1.客の分散

第一には、客が散らばるという問題がある。図は 架空 の X 駅に4つの雀荘がある状況を表している。 人のイラストは待ち客 の人数である。


図を見てお分かりのように、 雀荘 A ~ Dの待ち客を 1箇所に集めれば 卓を立てることができる。

しかし、4人の客が4つの雀荘に分かれてしまっているので、この4人で卓を立てることができない!収益機会を失ってしまう。

経済理論の原則は無数の生産者が競争するという完全競争が望ましいだが、この場合は過当競争だ。

1つの商圏の中で多すぎる雀荘は、客を分散させてしまい、雀荘の経営効率を悪化させてしまう。

雀荘とはお客さんが4人揃わないとサービスを提供できないという非常に特殊な業態だ このようなものは世の中に 極めて少ない。 新聞に載っているパック旅行の広告は、「最小催行人数10名」 みたいに小さく載っている。あまりにも参加人数が少なければ赤字になってしまうためだ。
 世の中のサービス業のほとんどすべては1人の客に対してサービスを提供しているので、N人の客がそろわないと物理的にサービスを提供できないというのは、 すごく 特殊なことだ。

2.客が少ないとメンバーの必要性が増す

当たり前だけど、麻雀は4人揃わないとゲームをプレイできない( 最近では3人麻雀も盛んだが ここでは話を4人麻雀 に限定する)。

フリー雀荘でお客さんが4人揃わない時にはどうするか。 この記事をお読みの方には改めて説明する必要はないかと存じ上げるが、「メンバー」の登場となる。

メンバーとは、何か?

SMAPのメンバーだった稲垣吾郎氏が2001年に道路交通法違反と公務執行妨害の容疑で現行犯逮捕されたときに、テレビのニュースが忖度して「稲垣容疑者」ではなく「稲垣メンバー」と呼んだときの、あの「メンバー」ではない。

メンバーとは客と一緒に麻雀をする従業員だ。

この場合の勝ち負けは通常、自己負担!ゲーム代も自分で負担する(店が半分出す場合をハーフバックという)。

4つの雀荘に1人ずつ待ち客がいる上の図で、この状態で新たに卓を立てようとすれば メンバースリー3入りにせざるを得ない。

A から D のどれかの雀荘に新たに1人客が来たとしても、 メンバー ツー入りにしなければならない。

 一般の企業で人員が不足した場合、 派遣会社を通じて人手を確保することがある。 しかし、 メンバーの仕事をする従業員を派遣会社を通じて調達することは考えられない。

いま日本経済は人手不足に直面している。首都圏 なら アルバイトの時給は1000円以上 が当たり前だ。  人手不足に対するよく言われている 解決策は、 女性、高齢者、外国人労働者の活用だ。 しかし 雀荘 のメンバーとして これらの人々が働く姿はイメージすることは困難だ。

もちろん、お客さんが完全に4人揃うまでかたくなに卓を立てないという方針も原理的には可能だ。 それなら メンバーは必要ない。しかし、それでは、 1ヶ月もしないうちに店は潰れてしまうだろう。 現実にはお客さんを待たせないように、メンバーが入って卓を立てるのが一般的だ。

以上から、お客さんを比較的少数の店に集中させて、 必要なメンバーの人数を少なくすることが望ましい。

3.ルールの過激化による客の奪い合い

最初に出した例では、 X 駅の周辺で4つの雀荘がお客さんを取り合っていた。

それでどうなるか?

 それぞれ 雀荘が 一人でも多く お客さんを集めるべく「 創意工夫」を凝らすことが考えられる。

「 創意工夫」の典型的な方向は、ルールの過激化であり、赤ドラだけでなく青ドラやら金ドラやらの導入、東風戦、連勝戦、3人麻雀などなど、要するに射幸性を高めるということである 。

上掲のX駅周辺の4つの雀荘の例だったら、こんな感じでそれぞれ独自ルールを打ち出すイメージだ。

もちろん、このようなルールが刺激があって楽しいという方もおられるかもしれない。しかし、 麻雀業界の健全な発展(というか維持)を考えれば、あまり良い変化とは言えないと思う。

4.組合加入率の低下

最後は、客側からすればちょっとマイナーな問題だ。

全国麻雀業組合総連合会の理事長で「麻雀界」編集長の高橋常幸氏は下記のnoteで

で組合に加入する雀荘の減少を述べている。麻雀業協同組合の存在理由の是非については、下記の「麻雀オタクゴン」(有名なノーレートフリー雀荘「オクタゴン」ではないことに注意!)という秀逸なハンドルネームのnoteに述べられている。

筆者は上記のnoteに一理あると感じる部分もなくはないが、雀荘が置かれた諸々の状況を考えれば、業界が一枚岩となって風営法下の雀荘営業をどうするか、警察や政治家に対応することが望ましいと感じる。対応の「窓口」はやはり組合であろう。

 筆者は、トッシイさんの雀荘巡りブログに登場するような個人経営の味のある雀荘を否定するわけではない。

しかし、業界の健全な発展と維持のためにはある程度 規模の大きいチェーン店への集約と(規模が大きいチェーン店は組合への加入率が高い傾向にあることから)それによる組合加入率の増加は悪くない将来像であると考える。

5.まとめ

以上、2000軒 前後と思われる フリー雀荘の数は多すぎるのか、少なすぎるのか、ちょうどよいのかを 考えた。

 まとめよう。 現在のフリー雀荘の数は多すぎると思われる。理由は、

(1)客が分散することによる収益機会の喪失、
(2)客の分散によるメンバーの必要性の増加、
(3)雀荘間の競争によるルールの過激化
(4)小規模雀荘の乱立による組合加入率の低迷

の4つである。

とはいえ、上述のように筆者は個人経営の味のある雀荘を否定するわけではない。コロナ禍の荒波をサバイバルして、庶民の娯楽を提供している雀荘にはエールを送りたい。

以上 オンレートのフリー雀荘に焦点を当てて、その数を論じた。近年は、 M リーグの影響もあって、 ノーレート あるいは 健康麻雀のフリー雀荘も 勢いを増している。 むしろ こちらの方が将来は主流になるかもしれない。 ノーレート/健康麻雀を含めた 雀荘の今後についてはまた機会を改めて論じたい。

最後までお読みいただきまして、有り難うございました。

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