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文章を書くこと:PDLB

日常的に大量の文章を書く仕事をしていない人から聞かれることがあります。「どうして毎日あんなにたくさん書けるんですか」と。

もう一行目に答えは言ってしまっているんですが、日常的に大量に文章を書くことに決めているからです。文章はロジックです。誰でも頭の中に抽象的なアイデアや感覚はあるんですが、それをいったん文章にしてみると「欠落」がわかります。

思いつきの断片はそれだけでは何にもなりませんが、文法に則ってテキストにしてみると欠けている部分が自分で理解できるのです。ですから思ったことはメモだけ取っておいて、あとで文章にします。

それが散文的になってしまうと自己陶酔から逃れられなくなるので、取り調べ調書や虫の生態観察のように冷静に書いておきます。

つねにノートとボールペンを持っているのは、スマホやパソコンのタイムラグが嫌いだからです。文字、記号、スケッチ、それらを扱う速度と柔軟性で手書きのメモを超えるモノはありません。整理、分類、編集においてはパソコンの方が便利ですが、それは二段階目にしています。

書いておきたいことは車に乗っているときやお茶を飲んでいるカフェなどで生まれます。何かを思いつくシチュエーションは「B.B.B.」といいますね。バス(移動中)、バス(入浴中)、ベッド(寝る前)だったでしょうか。これらは脳が振動や熱の刺激を受けることに関係があるそうです。

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たとえば、カフェで書いたメモに「外国人店員の働きぶりについて」とあります。おそらくその店には外国人の店員がいたのでしょう。なぜ「おそらく」なのかというと、メモをした直後に文章にはしないからです。すぐに書くと私が体験したリアルな出来事への言及が増えて感情的になるので、このときは何を考えていたのか、と思うくらいまで寝かせておきます。

思ったことはもちろん自分の感覚ですが、詳細を忘れたことで一般化されます。もう一度問題を体験し考えることができるのです。そこには時間を経たことによる追加情報もあるはずです。知人が「ハンペン」というコンビニの外国人店員を題材にした短編映画を作った、と教えてくれました。その映画を観て感じたことも、文章に追加するかどうか決めます。

構成を決めずにどんどん書き進めていくと、自然に結末が見えてきますが、スタートに結論を用意していることはまずありません。ゴールが決まっていると最短ルートでそこに辿り着くことだけを考えてしまって、破綻がなく退屈になるからです。論理の捏造も生まれます。破綻が必要なのは、本を朗読するようによどみない会話をする人は退屈でロボットのように見えるからです。

だいたいの文章が書けたら冒頭に戻ります。ここからが大事。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。