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頑迷さと対応の遅れ:PDLB

皆さんは、昔と同じようにテレビを見ていますか。ずっと慣れている人は朝出かける前にニュースや天気予報を見て、夜もドラマやバラエティを見ているかもしれません。しかし、子供達はYouTubeを見ています。テレビをモニタとしてNetflixを見ているかもしれません。これらは受像器である「テレビ」は使っていますけど、テレビ局の番組を見ていないことになります。

端末が変わるとコンテンツが変わるのは当然です。我々の世代はインターネットがない時代に生まれ、ある程度大人になってからネットに触れることになりました。ですから、客観的にネット以前、ネット以後を冷静に見られる立場だと思います。

何が便利になって、何がネガティブな要素を生み出したか。デジタル・ネイティブの子供達とは違って、過渡期を生きてきた我々にだけ見えているものがあるはずです。

新しいものが出てくるといくつかの典型的な反応があるものです。飛びついたり、拒否したり、それは当然のことで、今までになかったものを目の前にすると自分がどう関わっていくのかの答えを探さなくてはいけません。一番対応が早かったのは音楽の分野でしょう。シーケンサー、サンプラー、MIDIなどはパソコンの黎明期とほぼ同じタイミングで生まれています。

扱うデータ量も少ないですから、ハードのスペックがそれほど高くなくても対応できたのは大きな勝因でした。映像のデジタル化はそれよりかなり遅れています。家庭用の「miniDV」は画期的でしたが、その性能は今のスマホのビデオカメラより数段劣った性能でした。膨大なデジタルデータの取り込みや保存、編集、レンダリングも高性能なマシンスペックがないとできませんでした。

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今、Blackmagic Design社から「DaVinci Resolve」というカラーグレーディングソフトが出ていますが、ほぼ製品版と機能が変わらないソフトが無料でダウンロードできます。この「DaVinci」というシステムが2000年前後に導入された頃は、ソフトとハードで数千万円のシステムでした。専用のスタジオでこれを時間単位で使うレンタル・フィーもかなり高かった記憶があります。それが今では格段に性能が上がったうえ、無料配布されているのです。

QuickTimeが最初に出てきたときは落胆したものです。パラパラ漫画のような速度と、小さな画面サイズで、これが仕事に使えるようになるとは到底思えませんでした。しかし進歩とは常にそういうもので、今では8Kでも滑らかに動くのです。あの時、こんなパラパラ漫画レベルのものを開発しても仕方ない、と思わずに研究を重ね続けたから今があります。

子供にiPhoneやiPadを渡すと、何も教えなくてもフリックやスワイプをするようになります。逆にテレビ番組を見ていて、CMが流れると画面をスワイプしようとする子供もいるようです。デジタル・ネイティブの子供達は、基準が完全にデジタル端末仕様になっていますから。

端末が変わるとコンテンツそのものも変化しなくてはいけない、という単純な理屈を阻害するものは何でしょう。それは「過去にこだわる頑迷さ」です。すでにテレビのリモコンにはYouTubeやNetflixというボタンがついてしまっているのです。それを地上波民放テレビ局が旧態依然とした態度で今までのテレビのやり方を守り続けていけば、衰退は目に見えています。

では、どうすればいいでしょうか。

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