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1950年代の理性消費:PDLB

PDLBのことをほとんど知らないという人が、定期購読メンバーに入ってくれた。とてもありがたいことだと思っている。

SDGs、PDCAなどという言葉をよく聞くと思う。これらは憶えやすいうえ、他と区別できるように4文字の略称を使うことが多い。Sustainable Development Goalsなどは、強引に最後のGoalsを2文字に分けている。SDGsは国連が掲げた開発目標のことだが、これはあまりに抽象的で「目標」という範囲を出ていない。

PDCAは生産・品質管理などの継続的改善手法のことを言っているようだが、Plan、Do、Check、Actなどという小学生が宿題をやるときに言われるようなことをあえて周知徹底させなければならない組織は、そもそも機能不全であると言えよう。計画して実行し、確認して次につなげなさい。それらしいビジネス用語を使ったことで何かをした気分になる人だけが使えばいいと思う。

広告宣伝の分野では1920年代に「AIDMA」と言うキーワードが流行した。消費者心理学の先駆けとも言えるが、Attention、Interest、Desire、Memory、Actionの略で、「注意を引いて、関心を持たせて欲しくさせて憶えさせ、買わせる」という消費行動プロセスのことを言っている。

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1920年代の日本では、まだ消費心理の研究はされていない。世界恐慌後にアメリカの消費が活発になった1950年代、ニューヨークでは広告代理店・DDB(Doyle Dane Bernbach)が、理性的な消費者に向けた商品やサービスの広告を始めた。1951年、広告専門の制作プロダクションとして日本で初めて作られたのが株式会社ライトパブリシティである。表現の洗練が「消費の洗練」を生み出す、としたDDBの影響を大きく受けた、ライトパブリシティという会社の末席で学んだことは、現在に至るまで自分のスタイルを決定づけている。

複雑で細分化されたと言われる現代のコミュニケーションにおいても、1920年代から何も変わったことは言われていない。市場分析も経済効果分析も、使う部品というエレメントが違うだけで設計図は同じだ。

バーンバックらが提唱した「ノン・グラフィック」という手法には、デザインやクリエイティブディレクションのみならず、与えられた課題への答えの出し方に現代でも通用する大きなヒントが隠されている。

PDLBが提唱する画期的な思考メソッドは、広告宣伝や世界の環境などに関わる開発目標とは違う「新しい設計図」としてのアプローチをしている。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。