見出し画像

金沢・石田屋:PDLB

あるおばあさんと話していた若い母親が「今、子供を産んで育てるのは大変です」と言うと、おばあさんは「子供を育てるのに大変じゃなかった時代なんて、過去に一度もないのよ」と答えたといいます。

というわけで、人はどんな過酷な環境にも慣れてしまうもの。今の状況にも社会が適応してきたようで、仕事も普段と同じくらいの忙しさになってきました。

9月11日から代官山のヒルサイドテラスで金沢の寝具店「石田屋(いしたや)」の展示会「眠りの体験会」があります。金沢に美味しいお寿司を食べに足繁く通っていたところ、石田屋の田中会長と知り合いました。扱っている製品がとても上質で、金沢では老舗として有名な石田屋ですが、東京を始め全国的にはあまり知られていません。

画像2

そこで微力ながら我々がブランディング計画にかかわることになり、写真やデザインも含めてお手伝いをしているわけです。毎回ブランディング会議に行くと美味しいお寿司を食べるのですが、それは金沢の持つ歴史や文化を理解するための重要な業務でもありますから真剣です。食べたいだけじゃないんです。

まあそれは冗談として、今の時代、極端なグローバリズムに陰りが見えてきていることは誰でも感じるでしょう。世界標準にならえ、という段階はとっくに過ぎています。人々の興味は小さなモノへと移行しつつあります。ただしそれは反グローバリズムとも違いますし、単純なローカル礼賛でもありません。「そこにあるもの」が影響する範囲を、従来から少しだけ広げることで変化が生まれるのであれば、そうしない手はありません。

地方にありがちな失敗例としては、自治体が広告代理店に丸投げするタイプの村おこしなどがあります。我々が地方で何かをするときは、この負の遺産と最初に戦わなくてはいけないのがとてもつらい。「東京からなんか変なヤツが大勢やって来て、莫大な予算をとって、無責任にかき回して帰って行った」という前例のトラウマを拭う、無駄な労力です。

自分がブランディングとしてできること、やりたいことはハッキリしていて、ダメなモノを騙して売る仕事には荷担したくありません。自分でも価値がないと感じている商品に高級な包装紙をつけてみせるアクロバティックなテクニックを見せることが広告や宣伝ではないからです。

ここから先は

809字 / 1画像

PDLB

¥5,400 / 月

PDLBについて。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。