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食中毒のシェフ:写真の部屋

「1000回スタジオに入った経験があっても、毎回悩むんです」

ベテランの写真家から聞いた言葉です。「悩む」というのが私レベルには到底理解ができないくらい高度な意味なのでしょうが、それでも「今回は簡単」などとは思っていないのだな、と驚きました。

写真の技術は、カメラなどの機材の科学的な理解、現像やレタッチなどのポストプロダクション、撮影時に必要なコミュニケーション、プロップなどへの教養、ロケーションの選択眼、それらすべてを満たしていないと仕事になりません。

他人の写真に対しては意地悪ですが、最初に「減点法」で見てしまいます。最低限の技術がクリアされていないものは『カメラは、撮る人を写しているんだ。』の中にも書きましたが「食中毒の存在を知らないシェフ」と同じことです。

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写真の部屋

¥500 / 月

人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。