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今はまったくギターも弾けないけど。

自分の部屋でスマホをいじりながら「ああ、俺も音楽やって米津玄師みたいにチヤホヤされてえなあ」と思っている人がいるとします。彼のつぶやきは昨日と何も変わっていません。何もしていないからです。

なぜ何もしていないかというと、ただ怠惰だというだけではなく、目標としている「チヤホヤされている人」の完成品しか見たことがないので、彼らがどうやってそうなったのかを知らないからです。

よく二世議員、二世タレント、などと馬鹿にされることがありますけど、彼らは親がやっている仕事の裏表を子供の頃から近くで見ているので、ズルをしているとも限らないのです。

音楽はまだわかりやすいですが、大雑把に「お金持ちになりたい」という若者の話を聞くと、鼓膜を閉じたくなります。お金持ちというのはマンションの上の階に住んでいる住人です。お金持ちになりたいという人には自分の部屋の天井だけが見えていて、その上のお金持ちの床に何があるかは見えていない。まあ、マンション自体が別なんですけどね。

お金持ちになりたい、という若者に「じゃあ、いくら持っていたらお金持ちだと思うか」と聞くと、大概何も答えられない。リアリティのある想像ができないから、「今はまったくギターも弾けないけど、俺が音楽をやれば米津玄師みたいになれる」と思ってしまうのです。

堀江さんの本を読んでます、とか、何とかセミナーに行った、などと言い始めます。あれあれ。それって結局、すでにお金をたくさん持っている人に対する「支出」ですよね。なぜお金が欲しいのに支出ばかりなんでしょう。

日本人の平均年収がいくらくらいかはよく知りませんけど、収入というのは対価ですから、平均的な人には平均的な収入がある。価値に「希少」がつく人には多く支払われます。答えは出ましたよね。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。