二兎を追う者:PDLB
昔、NIKEの広告が世の中で目立ち始めた頃にクライアントから必ず言われる言葉がありました。
「あのNIKEのCMのようにかっこよくて目立つものを作りたい」
というオーダーです。NIKEと言えば世界のトップアスリートを使ったり、商品のイメージをシンプルに打ち出すセンスのいいCMが多かったので、それも当然のことだと思います。しかし問題はここからです。
「今回の商品は他社にはないこんな特徴があるのでそう言って欲しい、他にも関連したサービスがあるので明記して欲しい、キャンペーン中はディスカウントがあるからその告知もして欲しい」
なんのことはない、今までその会社がやっていたCMと何も変わらない、情報が盛りだくさんのCMの出来上がりです。
何がNIKEのCMをNIKEたらしめていたのかと言えば、「ひとつのことしか伝えようとしない」これにつきます。情報の伝達の強さを「100」という数字で表現したとすると、同じ時間でふたつのことを言えば単純計算で50ずつになります。テレビやウェブを眺めている人々に対して、印象に残る情報が「50の強さ」で伝わることになるのです。
と一旦は言ってみたものの、実際は50になることはありません。ではいくつでしょうか。
多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。