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qualité-prix:PDLB

フランスでよく聞く言葉に「Rapport qualité-prix」というのがあります。品質と価格のバランス、という意味ですが、経済用語としての収益性などとは別に、人々が「これは値段相応か」という場面で使います。

何十年も前に初めてフランスに行ったとき、あることに驚きました。裕福そうな老夫婦がレストランの入口でかなり長い時間、メニューを見ていました。私が店に入ろうとしてすれ違ったとき、「高いね」と言うふたりの言葉が聞こえていなくなりました。日本ではあまり遭遇しない状況だと感じました。

私が漫然と入ったお店は、彼らにとってそれだけの料金を払う価値がないと思われたレストランであることについてしばらく考えていました。「qualité-prix」がわかるためには同等の料理をもっと安く食べられる店をたくさん知っている必要があります。私はParisが初めての観光客でしたから、もちろんその店の価格が妥当かどうかなどわかりませんでした。

生活全般でお金の感覚に違いがあります。裕福そうな紳士であっても皆ちゃんと値段を確認します。本当に高価な宝飾品や服などでは顧客に対して値段を言わないエレガントさも存在しますが、日本の寿司屋などで「時価」と書かれたメニューをただ見栄を張って有り難がるような飲食店での振る舞いをヨーロッパで見かけることは少ないように思います。

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そしてもうひとつ大事なのは、これは日本語で言う「コスパ」とは、まるで違う概念だということです。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。