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マーケティングの変容:PDLB

ここを定期購読している人であればわかりきったことかもしれないので、今回は無料記事。幼稚な話ですが、メンバーの皆さんはおつきあいください。

現在の状況は、誰も体験したことのない地球規模の困難ですが、その中でもいくつかの失敗例と成功例を見たと思います。情報がまだ少ないので、受け取った内容の査読といえるレベルまでは達していませんが、いくつかの共通点が見つかります。それがリーダー論。

台湾、ドイツ、オーストラリアなど女性リーダーの活躍が目立ちますが、これはまず第一に「人命を尊重する」という生物としての女性らしさに理由があるかもしれません。男性、特に政治に関わる人々が持つ社会的な犠牲や献身主義は、こういった状況ではマイナスに働くのではないかと感じます。

また、メルケル首相は理論物理学者であり、いまだに感染者が確認されていない岩手県は、達増知事がジョンズ・ホプキンス大学の出身であること、ブレジンスキー教授から、カーター時代のアメリカの政策・危機管理を学んでいることなどと無縁ではないかもしれません。

危機対応はこういった未知に対する状況の中では横並びで、アメリカでも台湾でも日本でもやるべきことは同じです。過去の感染症での経験はありますが、ロックダウンや経済のストップにまで至った事例は多くないでしょう。ですから暗闇を手探りで進む際の「感応力」にかかっていて、その差が各国の対応にあらわれているのだと思います。

日本は相変わらずの前例主義や伝達の遅さ、命令系統の不備などを露呈していますが、これは毎度のことですので、ここで語る気にもなれません。

さて、この状況が改善されて商業活動が復活したときに何をすればいいでしょうか。また、いつ終わるともしれない自粛を乗り切るためにどうすればいいでしょうか。業種によっては「対面型」でなくては成立しない種類のものがあり、それらは全滅と言っていいほどのダメージを受けています。かなり大きな規模の企業が破綻に追い込まれていて、これから時間が経つにつれてもっと増えていくでしょう。企業が生き残っても人員の削減などは残ります。失業者も増えるはずです。

対症療法ではありますが、飲食店などではデリバリーを始めたりしています。とにかく何かやらなければという気持ちはわかりますが、むしろ完全に市場が復活したときにどうするかという先々のビジョンが持てないと体力も気力ももちません。

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今後、起きてくるのは「購買行動の変容」でしょう。購買心理は、過去の手法が通用しなくなるほど、リセットされると思います。

マーケティングで陥りやすいのは「自分たちが提供するサービスは誰もが欲しがっている」という錯誤にありますが、実際はそうではありません。消費者であるあなたは知っているはずです。自分がいつも買うシャンプーは決まっているでしょう。それがなぜ「決まっているのか」を消費者である自分が精密に考えないと、自社製品への過大評価と奢りが生まれてしまいます。

ブランディングはその道筋をわかりやすく長期的に提示することですが、行き当たりばったりのマーケティングが先行すると失敗を生みます。その時々で顧客に合わせようとする態度が見えると、信頼性が低く受け取られてしまうからです。

それを「購買心理学」とでも言うべき方法で乗り越えられると信じていた過去に変化があらわれるはずです。震災直後もそうでしたがこれだけの災難の後の購買行動には大きな変化があるでしょう。

商品単価にかかわらずマッチングリスクを避けるために、誰かの推薦をより強く求めるようになります。これは企業が都合よく設定した情報発信デザインではなく、消費者同士の連携です。

これはユング心理学の概念から名づけられた「ペルソナ」などの対極にあります。ペルソナという古臭い手法は、すでに導入の失敗や効果の無さを指摘されているので数年前からはもう使っているところもないでしょうが、そこで正確なペルソナ・デザインが設定でき、成功した経験を持つ企業であれば、それ以外の手法にシフトしているでしょう。

外的側面であるペルソナによる開発セグメンテーションは、すでに現在の購買行動からはかけ離れています。「旧来メディア型コミュニケーション」と言えるでしょう。今は消費者の自発的な意志決定が減っていく傾向にあります。つまりペルソナを持たない人に向けてペルソナを設定しても無意味だということです。そもそもペルソナとは仮面のことですから、本物の自分ではありません。

ソーシャルメディアで「自分ではない自分」や「期待される自分」を演じていればいい時代はもう終わります。それらの消費は疲弊しか生まないからです。反対に、納得がいくエビデンスがありマッチングリスクのないものについては前にも増して売れていくはずです。短期的に見れば、そこには消費を制限されていたという数ヶ月の不満があるからです。

商品の正確な情報と、先に購入した(信頼できる)人の後押しがあればむしろ好機になります。クルマや高額商品は堅調でしょうし、状況が変わったことで固定されていたマインドシェアまで変化するかもしれません。

次回は「購入者の情報がソーシャルメディアなどで次の人に拡散され、共感とアクションが広まること」について考えます。

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