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白衣を着た患者:PDLB

ネットで可視化されたのが「教え病」の人だということは、よく知られている。誰かが何かを書く。するとリプライで、「それは違いますよ。こうですよ」と書く。

親切のつもりなんだろうけど、ネットで(友人と)適当な話をしているときに、誰も校閲を求めてなどいない。ここで大事なポイントは「友人と」だ。

その友人との話は誰もが読める場所でなされてはいるんだけど、会話に立ち入るには許可がいる。女子高生がふたりで話しているところに、「そのネイルは間違っている」と、センター街で知らないオッサンが話しかけるのがどれほど不審な行為かはわかるだろう。

「わからない」と言うのは論外なんだけど、それと同じことをネットでしていることにはなかなか気づかないものだ。

教え病の中にも様々な種類がある。今の校閲スタイルはわかりやすいが、「知識浴びせたがり病」患者もいる。この患者がトリッキーなのは、患者なのに白衣を着ていることだ。自分が医者のつもりである患者、というのはアメリカン・ジョークの定番だけど、客観的に見るとかなり面白く、恥ずかしい。

無知というメスを振り回す、白衣を着た患者だ。面白くないわけがない。

「無知はムチに通じる」というスコットランドのことわざがある。知らないことをムヤミに言うと他人を傷つけるよ、という戒めだ。ウソだと思うならググってサボらずに、自分で飛行機に乗ってスコットランドに行って聞いてみるといい。「行ってきましたけど、誰もそんなことを言ってませんでした」という人には、「バレたか」と謝る用意はある。

でも、行かないサボリストには謝らない。探そうとしたり、確かめようとして行動しない人は「白衣の患者」だから対等には話せない。

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白衣の患者が病院の庭で、他の患者を集めて演説をしている状況に出会うことがある。何を話しているのか聞いてみると、「皆さんは患者であり、私は医者であるから教えてあげる」と言っている。ビールケースみたいなのに乗って。

これは決して冗談ではない。ビジネスの現場にだって厳然として、あるのだ。そこで「あなたたち、全員、患者ですよ」と誰かが言ってあげてもいいんだけど、面白いからニヤニヤして遠巻きに見ている。

患者はそもそも理解できないし、遠巻きに眺める有識者である観客は面白がる。だから誰にも指摘されないまま、白衣の患者は、「自分は医者だ」と思って疑わない。

それを病院の庭でやっている分には特に問題はない。それがひとたび外に出てしまうと無知はムチになる。誰かが傷つく。その行為でお金を取ったら医師法違反になるのだ。

白衣の患者にならないで済む方法は、ひとつしかない。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。