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熱海とカンヌ:写真の部屋

友人と「写真に写っているものが、どれだけ本物であるか」という話をしていました。まず、本物という言葉の定義ですが、それは『自分が本当に写したかったもの』と言っていいと思います。あるとき知人が熱海に遊びに行っていたのですが、ソーシャルメディアに載せたその写真に「いまカンヌにいます」と書いていました。冗談として面白いかはさておき、こういうのは本物を考えるヒントになると感じました。

日本人が熱海に行くのとカンヌに行くのとでは当然のように希少性に差があります。ですからカンヌを訪れた人は「カンヌですか、いいですね」などと言われるのですが、それを熱海の写真につけた途端、熱海の価値はなくなります。熱海とカンヌはどちらも唯一の本物なのにもかかわらず、本物の熱海から「偽物のカンヌ」に格下げされてしまうわけです。

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写真の部屋

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人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。