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ミッドナイト・ツルッパゲ

リスナーの皆さんこんばんは。ミッドナイトとは言ってますが、24時更新は遅いと言われましたので22時半にお送りします。消費者ってワガママですよね。しかし今日は初夏みたいでした。渋谷で「STANFORD」とプリントされたタンクトップにホットパンツの『ブギーナイツ』っぽいムードの外国人を見かけました。タンクトップってもう季語になっていましたっけ。さて、最初のお便りです。

ロバート、こんにちは。しがないサラリーマン「レペゼン大手町」です。いつもミッツルを楽しみにしています。僕はまあまあ名の知られた、他人からは羨ましがられる会社に勤めています。学生時代はあまり勉強もせず駒場や本郷をブラブラしていました。社会人3年目にもなると社会の仕組みがわかってしまい、FIREしたいと思うようになりました。何かいいビジネスを始めてリタイアしたくてたまりません。幼なじみの友人は(Fランク大学出身ですが)会社をイグジットし、モナコに住んでいます。あいつにできるくらいなら僕にもできそうです。外国でのビジネス経験も豊富なロバートから、手っ取り早いマイアミバイスが欲しいです。

という「レペゼン大手町」さんからのお便りでした。さて、どこから片付けましょうかね。リスナーの中に同じ思いの方も多いでしょうが、あなたのように薄っぺらいドリーマー、ワナビーはたくさんいます。ドリーミング・ワナビーと重複表現をしても言いすぎではないくらいです。ドリーミング・ワナビー予備軍なのです。3年くらい社会人を経験したからといって、わかることなどたかがしれています。それで日本の中枢である大手町をレペゼンしているつもりの浅はかさは、白米以外に何を食べて育つと生まれるのか、不思議です。自分の会社を勝手に「人から羨ましがられる」と自慢してみたり、わざわざ駒場や本郷と回りくどく言ってみたり、中締めの結論を言うと「あなたはモテないタイプ」です。

幼なじみは立派ですね。努力して今はモナコで優雅に暮らしているのでしょう。しかしあなたは彼と同じ3年間を過ごしていて何を成し遂げたんですか。おそらく起業家や投資家のビジネス本を読んだか、ハナクソ並みの情報しかないセミナーに行って「学びを得た」くらいでしょう。何か起業したい、なんて言葉はないんですよ。したいことがあるから「起業」するんです。彼のことをFランクだと馬鹿にしていますが、あなたが日本でトップだと思っている出身大学も、世界では30位程度の評価ですよ。つまりあなたの言い方を借りれば『世界のFランク大学』ってことになります。あなたはルーマニアやガーナのトップの大学をご存じですか。たぶん知らないでしょう。でもその国の人々はそこに通う人をエリートだと思っているんです。あなたのプライドはその程度で、勝負できる地区大会のエリアを狭く設定しているだけです。メジャーリーグの選手に向かって「僕は鳥取大会でベスト4だった」と誇らしげに言っているのと同じだと理解してください。ちなみに鳥取の県大会参加校は「25」らしいです。

たとえば、年収400万円のサラリーマンが「グローバルに活躍できるビジネスマンに必要な能力とは何か」などという演説を始めたらどうなるでしょう。「お前が言うな」と無視されるはずです。無視だけではありません。殺されます。黙殺というやつです。もう一度言っておきますが、年齢や地位や収入、属している企業の知名度などで優劣を測っているのではありません。自分がいるポジションで言うべき発言の品質と領域があるということです。私は外国でのビジネス経験などほぼありませんから、その貧しい経験で何かをレペゼンするなんてことはとても恥ずかしくて言えません。そういうことです。

「5年後に、またおハガキをください」というのが私のマイアミバイスです。そのときあなたがイグジットして南仏のお洒落なリゾートにいるか、まだ丸ノ内線のホームで会社の不満を言っているか、楽しみにしています。

曲いきましょう。アンジェラ・アキで『手紙 ~拝啓十五の君へ~』です。

(スタッフに)
あー、本当にこういうやつばっかでイラつく〜。


多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。