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下マウントの格闘技:PDLB

Twitterが「つぶやき」であるというコンセプトを提示したことで、誰に対してどんな独り言を書き散らそうが構わないという風潮が加速していきました。匿名掲示板に誹謗中傷を書き込んでいた特殊な人だけでなく、ごく普通の誰もがすべてのことに暴力的なツッコミを入れるようになったのです。

無責任な匿名での発言は「発言だ」と認知・尊重されませんが、本人は言ったことで満足しているので加害意識もありません。小さな石つぶての集合が人を傷つけ、命まで失わせた例はみんな知っているはずなのに、です。

リングの上にいる格闘家はルールのもとに傷つきますが、観客席にいると何も傷つきません。血だらけになって試合が終わると選手同士は抱き合い、お互いの健闘を称えます。しかし観客にはそれがありませんから自分の尺度で誰かを納得いくまで傷つけ続けます。そこで思うのは、誰かを傷つける「加害」の罪ではなく、自らが無視される存在になることを何とも思わなくなる観客意識の構造についてです。攻撃されたくないが攻撃したい、自分は安全なところから発言したい、という分厚いバリアがいつしか自分の存在を透明にしてしまい、それが極端になると「透明であること」が理由で自我が崩壊してしまうことさえあります。

これが『下マウント』です。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。