見出し画像

タピオカ弘:PDLB

昨日は、定例のデザインとブランディングの勉強会でした。

あるプロデューサーと私のふたりが、そのときに気になっているトピックについて話し合うだけの会なのですが、毎回とても勉強になります。考えていることや思いついたことはそれだけでは強度を持ちませんが、誰かに話すことで自分自身がうまく説明できていないこと、情報が足りていない部分があることなどに客観的に気づくことができます。

だからただひたすら断片的なことを話しているのですが、口に出して伝えようとしているうちに新しいことを思いつくこともあるので「対話」は大切です。

私には芸人の友人が多いのですが、彼らのプライベートな話を聞いていると学ぶべきところはたくさんあります。テレビの番組で芸人同士が話している。ひとりが何か突拍子もないことを言い出すと、隣にいる人がそれについて的確な言葉を返しますね。

これが多くの場合、「初めての会話の流れ」でないことを知らない視聴者もいるでしょう。彼らはプライベートな場所でそれが面白いか、商品になるかをいつも試しているのです。

たとえば「この前、タピオカを食べに行ったよ」「誰と」「弘さんと」「タピオカ弘さんか」という(思いつきなのでつまらないですが)会話があったとします。このとき「弘さんと」という突然の仕掛けに相手が反応できず、「彼は、なぜ弘と言ったのだろう」と考え込んでしまったら会話に間ができて滑らかに話が進行しません。事前に楽屋などで「タピオカ弘」というコンセンサスがあれば、相手はベストのタイミングでそれに反応できます。

「芸人さんは何かを言われるとすぐに返せるから頭の回転がいいんだね」と言われたりしますが、プロフェッショナルなのでベーシックな部分を共有することで、やりとりの速度を上げていることもあるのです。飛んでくるものを素早く撃つクレー射撃は、そこが射撃場であることを知っていて、何かが飛んでくることを知っていて、銃を構えているから反応できるのです。

画像1

彼らは舞台の上で同じエピソードを何度も披露することもありますが、そこで客の反応がいい部分を膨らませたり、悪い部分を削ったりします。「コスる」と言いますが、何度も人前で繰り返し話すことによって話は徐々にブラッシュアップされ、完成していきます。これがないのが素人の話で、ただ自分に起きたことを起承転結なくだらだらと話してしまうと、相手の興味は持続しません。

これはプライベートな場でもビジネスのプレゼンテーションでも同じ。その話のどこにポイントがあるのか、結論に向かう道筋へどう展開していけばいいのか、そこを意識するだけで話は面白くなり、聞いてもらえる確率が上がります。

萩本欽一さんと言えば、芸人の中でも最高峰の話術の持ち主ですが、私に関わる話で目の当たりにして驚いたエピソードがあります。

ここから先は

576字

PDLB

¥5,400 / 月

PDLBについて。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。