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経営哲学の無力さ:PDLB

以前、ある個人経営の店から広告制作の依頼がありました。知人の紹介だったので話だけ聞くことになりましたが、その経営者は広告の手引き書のような本を何冊も持って来ていました。どの本にもたくさんの付箋がついていましたがパラパラと読ませてもらったところ、付箋がある場所に決定的なセンスのなさを感じてしまいました。言い方はキツいのですが、おままごとのように見えました。

イーロン・マスクやジェフ・ベゾスの本をいくら読んでも、個人経営のスケールで役立つ情報などはありません。「いやいや、経営哲学というのは企業のサイズには関係ないでしょう」と言いたい気持ちもわかりますが、マーケティング、広告、ブランディングといった専門的な部分は『経営哲学』と呼ばれる叩き上げの社長の発言とはまるで関係がありません。根性や勢いだけでできるなら、ブラック企業のすべてが成功しています。

最初に必要なのは、自分はAmazonレベルの会社を経営していないのだ、と正確に理解することです。「何年かあとでそうなるかもしれないじゃないか」という夢物語は一旦忘れましょう。そうなりかけてから考えればいいのです。中でもメディア戦略の基本は「センス」という言葉を使いましたが、感覚が鈍いと多くの場合は逆効果になります。「私の会社はいいものを安く売っているから素晴らしいのだ」と、ほとんどの中小企業の経営者は言いますが、そんなことは誰もが言いたいに決まっています。しかしそれを言ってしまうことで、皮肉にも信用はどんどん落ちていきます。

なぜなら、それを決めるのは選んで消費する側だからで、提供する側に言われると興ざめします。優れた広告手法の比喩として言われていることがあります。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。