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末廣さんと:PDLB(無料記事)

ここを定期購読しているメンバーに、末廣健一郎さんという作曲家がいらっしゃいます。数年前に『代償』というドラマの音楽で初めてお名前を知り、私がポスターやパッケージの撮影をしたドラマ『シェフは名探偵』でも音楽を担当されていました。

「作曲家がここを読むことにどんな意味があるのか」をご本人から直接伺いたかったので、今日食事にお誘いしました。こういったご時世ですから誰彼構わず会うことは避けていて、厳選した人とだけ会うという、いい口実になっています。

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場所はいつもの『ル・ブルギニオン』です。初対面のふたりの間には刑務所のようなアクリル板がありますけど、これももう慣れてきましたね。

末廣さんがどんなスタイルで音楽を作っているか、個人のブランディングとしてどんなことをされているかに興味があったのですが、反対に質問攻めにあいました。アートディレクションやブランディングなどについて話しましたが、やはり直接会って話すことには計り知れない価値があると感じます。テキストでのメッセージをやり取りするのとは圧倒的に情報量が違うからです。

『PDLB』でやろうとしていることは、できるだけ抽象的な「時代の空気」のようなものを共有することです。実務者とマーケティングなどの話をするとだいたい「前年度から8%増」などという言葉が出てくるのですが、何が変化してそうなったのかという説明に満足することは多くありません。販売戦略だとか広告などは、こうしたからこの結果が出た、というように簡単には分析できません。ギザギザの短期データの軸をできるだけ長く取り、滑らかなグルーヴとして感じないと経過や結果を見誤ります。

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この店は数年前から好きで通っているんですが、そのグルーヴがとても緩やかです。味に対する安心感というのか。いつ行っても満足できる、奇をてらわない料理やフレンドリーなサービスを尊敬しています。

大企業のやり方と、小さな組織や個人のブランディングはまったく違います。大きな企業になるとそれは小規模な自治体運営に近い、とある人から聞いたことがあります。トップダウンには限界がありますから、属している人々の意思統一などできるはずもなく、日々起こるトラブルは「地域」で起こるものと似てくるのだと言います。つまり同じ地域に住んでいる人は同じ目的を持っていませんし、同じビジョンで街を捉えていません。マンションに住んでいる会ったことがない隣人、くらい関わりの無い社員がいるということです。

数万人規模の大企業はそれと同じだそうです。社員全員が互いの顔を知っているような会社であればインナーのブランディングはやりやすいでしょう。同じ目的を設定して一丸となることはさほど難しくありません。それなのにいわゆる「大企業病」と呼ばれるような悪循環を持ってしまう、100人規模の小さな組織もあります。これはとても勿体ないことなので改善の余地があります。

さらに今回末廣さんと話したのは「個人のブランディング」について。音楽という商品を社会に流通させる方法は数多くありますが、そのどれを発信する個人として選ぶのか、新しい方法を提示するのか、これはつねに監視されているネット社会では特に重要です。私にも自分に置き換えてヒントになる言葉がたくさんありました。

「PDLB」は他の定期購読マガジンよりも価格を高く設定しているので、ほんの少しの恩返しというと変ですが、他のメンバーとも食事をご一緒しながらお話ししたいと思っています。


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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。