見出し画像

ダウンの3ブランド:PDLB


前回、「消費のピーク」は両端だけが持ち上がっており、真ん中の五合目あたりが凹んでいるのではないか、という話を書いた。

メンバーのコバさんから「ダウンウェア」を例にしたコメントをもらった。そこにはモンクレール、カナダグース、ザ・ノース・フェイスという名前が出てきたが、確かに電動自転車と似ていて、ファッションと機能が重なるポイントに位置している商品だと思う。

不況と言われるアパレルの中でも、これらのブランドの売り上げが堅調な理由は何だろうか。特に今の状況とも関係があるかもしれない。人々が閉じ込められた生活を強いられている今、アウトドア関係が伸びているのは感覚として理解できる。

フランスの工場で使われていた寝袋を改造したものを「ダウンジャケット」として製品化したのがモンクレール。大量生産ができない手作業で作られる製品は、キャトルフロコン(最高品質のダウンであることを認めた証)もあり、アルピニストなどの支持を得ていたが、1968年の冬季オリンピックでフランスナショナルチームのオフィシャルウェアに選ばれたこともあり、世界的な品質への信頼と知名度を手にした。イタリアの上流階級が好んだことや、流行を追わないことで「長く着られる」という評価があり、ビジネスの場でもスーツの上に着られるスタイルが人気。現在はイタリアを拠点にしている。

カナダグースは、特に環境への配慮に力を入れているブランドで「地球で最も寒い場所で生まれた」企業である。ダウンが防寒のためのウェアからファッションとして洗練されるに至った経緯はご存じの通りだが、ステートメントを出しているのが「企業市民権担当」という役職。

ザ・ノース・フェイスは「ザ・ノース・フェイス3(マーチ)」という女性向けのブランドが面白い。ファッションというよりも、アウトドアを含んだ女性の生き方に焦点を当てている。マタニティウェアなどもある。メゾン・マルジェラ、supremeなどとも積極的にコラボレーションしている。アウトドア・ウェアにとどまらない方向性を模索しているように見える。

画像1

この三つのブランドは、どれも現代の企業評価基準である、環境への配慮がなされている。アウトドアウェアであることから機能性は文句がない、ブランドストーリーも、ソーシャルメディアでの話題も多い。かなり理想的なポジションだと思う。

コバさんが、アパレルの中でこれらをピックアップしたのもよくわかる。雰囲気がお洒落であるとか、ゴージャスであるといったファッションの指針がそれほど影響力を持たなくなっているからかもしれない。

ここから先は

784字

PDLB

¥5,400 / 月

PDLBについて。

多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。