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中年のモラトリアム:PDLB

昨夜、ある人と食事をしていて気になったフレーズがありました。それが「10年経ったら辞めることを決めて、会社を設立した」という言葉です。企業に社員として雇用されるとき、定年まで勤め上げるというのが理想であり一般的だとされていた時代がありました。今は終身雇用の考え方は手放しの是ではありませんし、その後の生活を年金と退職金でまかなうことができた高度経済成長の時代とは状況が違います。

就職して能力を身につけ、ある程度の仕事ができるようになる30歳まではあっという間に過ぎていきます。そこから考える暇もなく日々を過ごしていると40歳になり、さらに中年のモラトリアムとも言える50歳までの10年間がやってきます。ここで先のことを思って愕然とする知人や友人を見てきました。私たち専門職のフリーランサーはあまり年齢が関係ない部分もありますが、この年齢における変化はフリーでも会社勤めでも大きくは変わらないはずです。

先ほどの彼が10年先に会社を辞めて別のことを始めると言っていたのは、おそらく知らない間に自分が停滞することへの戒めのように聞こえました。中年のモラトリアムは組織の中で「居心地のいい環境」を与えられることから生まれるものだと思っています。40代から50代の初めまでは仕事が忙しく、決裁権も増えてやりがいもあり、部下ができることによって自分の立場がよくなった気もしてくるでしょう。ここが危険なポイントです。サラリーマンをしていた頃、社外の先輩に言われたことがあります。

「会社というのは、不満が出ない給料ではあるが、独立するほど貯金ができない絶妙な金額を設定していることをおぼえておいた方がいい」

これには膝を打ちました。当時自分は30歳になったばかりでしたが、それまで順調に上がってきていた給料にやや安心感を持っていたからです。しかしそれが永遠に続かないことには気づいていませんでした。すでにフリーになって20年が経ちますが、自分の場合もしも会社で定年を迎えていた場合、おそらくその後の数十年を生きていく策はなかったかもしれません。

決して今が安泰などということではありません。今後の数十年をいかに生きるかを日々模索中です。40から50代のモラトリアムを無為に過ごしてしまうと次のようなことが起こります。

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多分、俺の方がお金は持っていると思うんだけど、どうしてもと言うならありがたくいただきます。