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ビジネスとアート:PDLB

ある人が「アーティストとは何かを作る人だけではなくて、何かを作ることを考えている人も含まれる」という意味のことを言っているのを聞きました。

我々は様々な方法で社会と関係し、一部分を構成していますが、それぞれの役割に「アート」という側面があるのではないかと考えてみます。アートとはそもそも何でしょうか。彫刻や油絵だけがアートではありません。

それらを展示する場所のことを美術館といいますが、美術館の外にアートは存在しないんでしょうか。あります。むしろ世界を見渡して「アートではないもの」を探すことのほうが難しいのです。

「アートでない」と断言できるものがあるとすれば、それは「反アート」の立場から作られたものでしょうが、それも批評的な意味合いで言うと、ポジとネガのような「オルタナティブなアート」になってしまいます。

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たとえば「金融」という業種がありますね。金融と聞く狭い世界に感じますが、そこに確率や統計、予測などを含めて考えると「金融工学」になります。金融と工学というのは結びつきそうにない単語ですが、新たな角度の視点を当てはめただけで、切り口は変わっていきます。

その方法で言えば「金融芸術」のようなものが生まれても不思議ではありませんし、最後に芸術とつけてしまえばどんなものでもアートになります。

現代美術、コンセプチュアル・アートと呼ばれるものは大昔とは違って、美しい芸術品を作ることから大きくはみ出すことに成功しました。美しい風景や肖像画、宗教画を描くことだけが芸術ではないという革命です。では、それらが生まれる原動力になったものは何か。

それは「世界の拡大」です。赤いリンゴや皇帝を写実的に描くことが昔の画家の仕事でしたが、それは写真の登場で突然不要になりました。写真のほうが簡単に正確に写実をすることが可能だったからです。ただリアルに描けるという職人的な技術が不要になってしまったことで、芸術家たちは世界をもっと広げる方法を模索し始めます。

それがダダイズム、キュビズム、シュール・レアリズムなどを生み出します。赤いリンゴは青く描いてもいいし、真四角にでも、見えていない裏側を描いても構わないのだ、ということになったのです。その自由さはどんな分野にも応用が効くことがわかり、金融は工学になり、建築は美術になり、最終的には、引越センターまでもが「アート」になりました。

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