ワタナベアニ

写真家・アートディレクター。着ぐるみの中は繊細です。1964年生まれ。「ロバート・ツル…

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写真家・アートディレクター。着ぐるみの中は繊細です。1964年生まれ。「ロバート・ツルッパゲとの対話」 https://www.amazon.co.jp/dp/4908586071/

マガジン

  • エジさんが来る

    エジさんという人が、役に立たない英語を教えてくれます。

  • 写真の部屋

    人類全員が写真を撮るような時代。「写真を撮ること」「見ること」についての話をします。

  • Anizine

    写真家・アートディレクター、ワタナベアニのzine。

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    PDLBについて。

  • 博士の普通の愛情

    恋愛に関する、ごく普通の読み物です。

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    ロバート・ツルッパゲとの対話

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とにかく文型の理解:エジさんが来る

とにかく文型を憶えましょう。日本語と決定的に違うのが語順なので、これを理解しないと文章が作れません。文型は動詞によって決まります。 第3文型 なぜ3番目からかと言えば、この動詞の使用頻度が一番高いからで、ほとんどの文章がこれだと言ってもいいくらいです。SVOというのは主語、動詞、目的語で、「私は、あなたが、好きです」の構文です。 I love you. は日本語で言うと「私は、好きです、あなたが」の順番になっていますが、日本語とは違って、この順番を変えると意味が違ってしま

    • 食中毒のシェフ:写真の部屋

      「1000回スタジオに入った経験があっても、毎回悩むんです」 ベテランの写真家から聞いた言葉です。「悩む」というのが私レベルには到底理解ができないくらい高度な意味なのでしょうが、それでも「今回は簡単」などとは思っていないのだな、と驚きました。 写真の技術は、カメラなどの機材の科学的な理解、現像やレタッチなどのポストプロダクション、撮影時に必要なコミュニケーション、プロップなどへの教養、ロケーションの選択眼、それらすべてを満たしていないと仕事になりません。 他人の写真に対

      • くだらない結論:Anizine

        「ゴールデンウィークが終わったらグランピングに行かないか」  「また、おかしなことを言い出すなあ」 「だって連休中は混雑するだろう。『この時期は混みますよ』って言われている時期に行くってどういうことなんだ」  「そこしか休めない人がいるってことだよ。口の利き方に気をつけろ」 「というわけで、グランピング行くか」  「行かないよ。グランピングなんて概念に納得いかないから」 「何がだよ」  「野外のテントで寝るんだろう。それをグランにしてみたって変わらないだろうが。ホームレスが高

        • 消費の幼稚化:PDLB

          先日、友人からランチに誘われて新宿に行きました。食事が終わると「買い物に付き合って欲しい」と言われ、話を聞くと時計が欲しいのだと言います。私はその昔、タコ二匹が腕に巻けるくらいの数の時計を持っていましたが、彼が家に遊びに来たとき、ズラッと並んだ時計を見て「こんなにたくさん持っていて、腕が何本あるんだよ」と呆れられたことを憶えています。私も「そう言えば左腕は一本だよな」と気づいて、スーツ用のブレゲと、普段用のシードウェラーの二本だけを残して処分してしまいました。 当時は今の価

        とにかく文型の理解:エジさんが来る

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        記事

          サボり写真:写真の部屋

          若い頃、先輩から「お前は、雨が降っていると家の猫しか撮らないのか」と怒られた友人がいました。写真には行動の量が写りますから、雨だから部屋にいる猫でも撮るか、というサボリは伝わってしまうよ、ということだったのだと思います。 20代の人に会ったとき「おじいちゃんかよ」と言いたくなるほど枯れた写真を見せられることがあります。ベランダにある花、テーブルの上のオーガニックなクッキーとカプチーノの露出オーバー気味の写真に「日常の繊細な美」みたいにポエちらかしたキャプションがついているの

          サボり写真:写真の部屋

          山村紘未さん:写真の部屋(無料記事)

          いいモデルが目の前にいなければ、いい写真が撮れないのは当たり前です。つまるところ、写真家にとって「いいモデルと出会う能力」がとても大事だということになります。写真はモデルで女優の山村紘未さん。ある撮影で知り合い、何度も仕事をしました。 モデルとして活動していたときから、この人は俳優に向いているのではないかと感じていました。衣装を着てカメラの前に立った瞬間に何かが見えてくるからです。神秘的な言い方は好きではありませんし、おおげさな表現かもしれませんが、彼女がそこにいれば何もし

          山村紘未さん:写真の部屋(無料記事)

          死んだフェラーリ:博士の普通の愛情

          数年ぶりに知人と会ったのですが、冷たい結論を先に言ってしまうと彼と会ったことは、私にとって『時間の浪費』でしかありませんでした。誰かと何もせずに無為な時間を過ごす豊かさだってあります。いつも有意義な話をすればいいというものではありません。しかしそういう種類の無駄とは違って、自分とは関係ないネガティブな感情だけを背負わされた気がしたからです。 久しぶりに彼から連絡があって、近くのホテルのカフェに行きました。遅れてやって来た彼を見て驚きました。若い頃はスポーツ選手のような肉体の

          死んだフェラーリ:博士の普通の愛情

          心がロコモコする:写真の部屋

          私は30歳くらいまで「引きこもりのインドア人間」でした。広告のアートディレクターをしていたのですが、当時はわざわざスタジオで撮るアイデアばかりを提案していて、なぜかロケは避けていました。出不精だったのです。今はデブ性ですが。パワハラじみたオヤジギャグはさておき。 広告の仕事では自分がロケーションを決めるときもあるのですが、「ここでこういう撮影をする」というのが先に決まっていることもあります。そうなると行かざるを得ません。そこで「ロケって楽しいじゃん」と、10年遅れくらいの発

          心がロコモコする:写真の部屋

          逆像。

          自分の顔は、鏡に映った逆像しか見ることができません。撮られた人が、モニタに映った顔を見て驚く。人の写真を撮るのがなぜ楽しいのかというと、そこで一緒に驚けるからです。

          等身大であること:Anizine(無料記事)

          自分が自分のチカラでできることをする。「等身大であること」をいつも考えています。私は南仏に別荘も買えないですしロールスロイスも買えませんが、毎日生活していく上で特に困っていません。しかし誰かが持っている南仏の別荘に遊びに行ったりロールスロイスに乗せてもらったときに、ほんのちょっと自分が『そちら側に近づいた』と思ってしまう人がいます。ここなんです。等身大の自分に天麩羅のコロモがまとわりついてしまうのは。 誰でも多かれ少なかれ他人に何かを自慢したい感覚があると思うのですが、他人

          等身大であること:Anizine(無料記事)

          まったくフォロワーが増えないよ! https://www.instagram.com/watanabeani/

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          英語で半殺し:エジさんが来る

          みなさんは英語をどうやって勉強しているでしょう。何かを習得するときに難しいのは「学び方を知らなければいけないのに、誰も学び方を教えてくれない」ということです。参考書や問題集を買ったり、オンライン英会話などを始めてもそう簡単に結果は出ません。どうやって自分がイメージする英語の能力を向上させるかについては、自分自身で編み出すしかないということです。 私も色々な方法を何度も試していますが、最近気に入っているのはこんなやり方です。

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          ハリウッド・メソッド:写真の部屋

          写真でもムービーでもそうですが、演出して撮る側は「演技においてのグルメ」でないといけないと思っています。たとえば泣く演技。涙をスポイトで垂らして撮れば終わりではありません。なぜ写っている人はそこで泣いているのか、観る人がその涙に感情移入できるかどうか、が大事です。演出は小説を読んだり、映画を観たりすることで訓練できますが、そこで得られるデータは「してはいけないこと」の膨大なストックになります。 たとえば映画を観ていて、ここで主人公がこんなに泣くのはおかしい、と感じたとします

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          22歳の社長:Anizine

          「カレーショップ『ココイチ』のフランチャイズを25店舗経営する群馬県の会社の新社長に22歳のアルバイトが就任」というニュースを見ました。15歳の高校生の時からアルバイトを始め、その能力が認められたということですが、とてもいいことだと思います。 接客業は個人の能力の差が大きく、時々、突出した才能を見せる人がいます。以前もあるコーヒーチェーンで働く女性店員の話を聞いて驚いたことがあります。店に来る常連客数百人がいつも注文する物を、あの人はコーヒーとバタートーストとジャム、のよう

          22歳の社長:Anizine

          写真は「驚き」の成分が大きいので、いつもと違うものを見たときにはシャッターを押す回数が増えます。そしてそのほとんどがただの物珍しさだけだと気づくのですが、押さないよりはいい。いつもと違うものを見続けることはとても大事で、そのためには物理的な移動をサボらないことです。

          写真は「驚き」の成分が大きいので、いつもと違うものを見たときにはシャッターを押す回数が増えます。そしてそのほとんどがただの物珍しさだけだと気づくのですが、押さないよりはいい。いつもと違うものを見続けることはとても大事で、そのためには物理的な移動をサボらないことです。

          ギャラ問題:写真の部屋

          相変わらず、平林監督が書いたことに影響されていますが、ギャランティの問題についてです。 平林監督の定期購読マガジンは非常に大事なことが書かれているので、是非とも。これに払う500円をケチると、今後の人生でいくら損をするかわかりません。で、私のほうも生々しい話になりますので、ここからメンバーのみに。

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