あの子は忘れていい話

※みたらしは私の息子のあだ名です

2022年の年末の話です。

田辺さん「みたらしに会わないと今年が終われなくて」

田辺さんがスケジュールに余裕のあった日に、私の息子に会いに来てくれることになりました。

田辺さん「みたらしに田辺さんが会いに行くよって言っておいてね!」

私は言われた通り、早速息子に田辺さんがやってくることを伝えました。

私「今度、田辺さんが来るよ」

息子「ラッピーさんが来る?!」

ちょうど声をかけた時にテレビで【ラヴィット!】を見ていた息子はごっちゃになったのか、【ラヴィット!】のキャラクターのラッピーが我が家にやってくると勘違いしてしまったようでした。

息子「ラッピーが来る!」

私「ラッピーは来ないよ!田辺さんが来るよ!」

息子「田辺さん!」

息子は理解したのかわからないまま、トミカで遊び始めました。

息子「ラッピーが来たらトミカで遊ぶの!」

私「ラッピーは来ないよ。田辺さんが来たらどうする?」

息子「うーん…すべり台に連れて行く!」

私はちゃんと遊びに来る人でもてなし方を変えるんだって思いました。「ラッピーは来ない。来るのは田辺さん」と伝えてその日は終わりました。

田辺さんが遊びに来る当日。息子と遊んでいると田辺さんからメッセージが来ました。

田辺さん『田辺さんが来るよ』

私はこの文字だけ見るとちょっと怖いなと思いました。

田辺さん『車で後7分くらい!みたらしに伝えて!』

私は田辺さんが7分後にやってくることを息子に伝えました。

息子「田辺さんが走ってくる!」

私「車で来るらしいよ」

息子「駄目っ!走って来て!!」

今度は私が田辺さんに息子の要求を伝えたところ、

田辺さん『私は走らないよ!メロスじゃないんだから!!』

田辺さんは自分がメロスではないことを教えてくれました。

ぴんぽーん

しばらくして、我が家のチャイムが鳴りました。

息子「ラッピーが来た!!」

この数分の間に息子の中で何かがあったのか、再び彼の中ではラッピーが遊びに来ることになっていました。

息子「ラッピ~!!」

息子はダッシュで玄関に走っていきました。私も追いかけていき、玄関の扉を開けました。

田辺さん「は~い。田辺よ~」

私はあの瞬間の息子の表情が忘れられません。

田辺さん「あら、みたらしちゃんどうしたの?」

私「いや、直前でやっぱりラッピーが来ると思ったらしくて、ラッピーって言いながら走ってここまで来てたの」

田辺さん「あら!ラッピーじゃないよ!たーなーべ!たーなーべ!!」

息子「・・・たなべさん!」

息子も三歳になり大人になったのか数秒間フリーズしたものの、気持ちを切り替えて田辺さんとの時間を楽しむことにしたようでした。

田辺さん「みたらしちゃん、これお土産!」

田辺さんは息子が大好きなトミカのカードと図鑑をプレゼントしてくれ、二人はそれで遊んだりとすぐに仲良くなっていました。

私(すごい!今までは会うたびに泣かせていたのに!良くても打ち解けた頃に田辺さんは帰る時間だったのに!)

私は二人の友情の変化に少し感動しました。息子は田辺さんに自分のトミカコレクションを見せてあげようと色々運んできました。その中に以前田辺さんがくれたトミカがありました。田辺さんは嬉しそうに言いました。

田辺さん「これは誰がくれたの?」

息子「はるちゃん!」

田辺さん「ばっ(馬鹿をなんとか飲みこむ田辺さん)それをくれたのは田辺さんよっ!!たーなーべー!!田辺さんっ!!はるちゃんは何もくれないよっ!!はるちゃんは何もくれないっ!!(嘘です)」

田辺さんはカッとなったのかはるちゃんのイメージを悪くしていました。

息子「はるちゃんじゃない?」

田辺さん「そう!はるちゃんは何もくれないっ!!」

息子「くれないっ!」

田辺さん「そう!それをくれたのは田辺さんっ!」

息子「田辺さんっ!」

田辺さん「正解っ!」

田辺さんはその勢いのまま息子が大ファンのよゐこの濱口さんと自分が一緒に写っている写真を息子に見せて「私ね、お友達なのよ」と言い始めました。息子が興奮して田辺さんのスマホを触った為、その写真にあんりちゃんとはるちゃんも一緒に写っていることが判明しました。

息子「あんりちゃん!はるちゃん!」

田辺さん「しまった!でもね、お友達なのは田辺さんだけよ!田辺さんだけ!(嘘)」

息子「あんりちゃん来ないの?」

ぼる塾ではあんり推しの息子はあんりの登場を期待したようでした。

田辺さん「あんりは来ないよ!!来るのは田辺さん!!」

息子「あんりは来ないっ!!」

田辺さん「そうっ!!あんりは来ない!あんりは何もくれないっ!!(嘘)全て田辺さんっ!!」

息子「あはは~」

田辺さん「田辺さんだからね!わかった?わかったみたいね…そう。良かったよ。誤解が解けて(?)」

田辺さんはほっとしたのかうちにある座布団を二枚繋げてそこに寝転がりました。息子はあんりを諦めて寝転がっている田辺さんに言いました。

息子「見てみて!ごろりんちょする!」

田辺さん「ごろりんちょって何?」

私「息子がよくやる前転ではないんだけど前転の直前までのポーズのこと」

田辺さん「あら、私のほうがよっぽどごろりんちょだよ!みたらしちゃん!これが本当のごろりんちょよ!」

田辺さんは座布団に寝転がっている自分を指さして言いました。

息子「駄目!これがごろりんちょ!」

田辺さん「どう見ても私がごろりんちょよ!」

息子「見て!ごろりんちょ!」

田辺さん「いや、これがごろりんちょ!田辺さんがごろりんちょ!」

二人はごろりんちょのことでもめていましたが、最終的にどっちもごろりんちょ、どんなごろりんちょがあっても良いというところで和解していました。田辺さんは寝転がったまま言いました。

田辺さん「みたらしちゃん、髪の毛素敵ね。家でやってるの?」

私「うん。セルフだよ」

田辺さん「みたらしちゃん髪の毛格好良いね。誰にチョキチョキしてもらったの?」

息子「田辺さん!!」

田辺さん「え?!いや、髪の毛は私じゃないでしょ?ママかパパでしょ?」

息子「ママかパパ!」

田辺さん「そう、ランダムなのね~」

その後二人はヒプノシスマイクの曲を一緒に聴いたり、息子お気に入りのぬいぐるみ【こねこちゃん】に初めて田辺さんが声をあてて、こねこ役声優デビューしたりと楽しい時間を過ごしました。(田辺さんがこねこになって言った言葉は『こねこ見てるよ。暴力はいけないよ』でした)

田辺さん「ああ今日は本当に楽しかったよ」

私「ね!すっごく楽しかった!でもみたらしは今日のこと忘れちゃうんだろうね。なんか寂しいね」

田辺さん「みたらしは忘れて良いのよ。私たちが忘れなかったら」

(ああ、そうか、そうだ、)

私「そうだね、そうだよね」

田辺さん「私はこれからもみたらしと遊び続けるよ」

息子「見て!ダイナ清掃車!」

田辺さん「わ~格好良い車だね!みたらしは難しい言葉も知っててすごいね~」

息子「ロンドンバス!」

田辺さん「みたらし!すごい!そんな名前も知ってるの!…って、今日ずっとクセでみたらしって呼び続けてたけどあんたには素敵な名前があるよね。あなたのお名前は?」

息子「田辺さんっ!!」

田辺さん「私は今日とんでもない過ちを犯してしまったのかもしれないっ!!」

田辺さんはとんでもない過ちを犯したまま帰って行きました。息子はその後すぐに自分の名前を取り戻し、田辺さんにころころラッキーちゃんというあだ名をつけていました。

おわり

***

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