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F1って同じ場所をぐるぐる回ってるだけでなにが楽しいん?

F1初心者に向けた記事です。なるべく専門用語や固有名詞を使用しないで頑張って解説する記事です。
F1のルールやレギュレーションについての基本的な記事は他にたくさんあるので、気になる人はそっちを漁ってください。


あのさぁ、観てて飽きない?

コレね。一番よく聞かれる質問。
F1観戦歴20年以上の私がズバリ自信を持って回答しましょう。
『はい、飽きます。なんなら眠たくなります!』
勘違いして欲しくないのが、飽きるんですけど、つまらなくはないです。
まずですね、近年のF1ではコース上の追い抜きが無理ゲーになってきてます。実際はコースやタイヤの状態、マシンの性能やピットインの作戦で差が付くので追い抜きはあるにはあるんですけどね。
状態や性能が均衡するともう「物理的に無理」に近いニュアンスです。
原因は色々あるんですが、細かく書くと混乱するので簡単に、車の特性で『後ろを走っている方が基本的に不利だから』です。
なのでコース上だけで戦うと、展開が膠着します。そりゃ、飽きます。

「F1マシンは1周で2秒~3秒速いマシンでないと追い抜きは無理だね」なんて言われてるんですよね。2秒~3秒、1周約5kmを走ってあくび1回分ですね。どう?簡単?難しい?
直近の2024年の2戦目、サウジアラビアGPの予選のリザルト見てみましょう。
予選は簡単に言うと「全20台が走ってタイムが速い順番でグリッドポジション決めようぜ!」というルール。ほぼイコールコンディションで全力アタックを比較できるので良い指標となります。
1位と10位のタイム差は「1.100秒」です。(ちなみに最下位との差は2.054秒)
どう?「直前のマシンより3秒速く走る」、これが如何に困難かお判りでしょうか?

で、レース中は何を見れば楽しいの?

よく聞く意見が「気になるドライバーやチームを探す」とかありますけど、F1に興味がない人には正直ハードルが高すぎます。
「ノーベル賞取った人は誰がすき?どの賞が好感持てる?やっぱ物理学?ボーアって凄いよね!」とか言われてどう思います?
なので、ドライバーとかチームの情報とかどうでもいいです。好きな色のチームとイケメンドライバーでいいです。どうせそのチームの色が紺紫じゃないなら勝てませんし、そのドライバーもせいぜい表彰台がいいとこです。
話が反れましたね、ゴメンナサイ。
おすすめの観戦方法ですが、下剋上を追うのが一番楽しいです。
先述の通り、下位チームが上位チームをコース上で追い抜くことなんて事はあまりないので「上位チームに抜かれずに踏ん張っている」という地味な画ですけどね。
ということは「どのチームが速いのか、遅いのか」ぐらいは知っていないとF1観戦はマジでつまらないです
F1はチーム(マシン)ゲーです。遅いマシンは速いマシンには勝てません。「ホームラン王がバットのメーカー変えただけで、1本もホームランが打てなくなる」という例えが地で行く無慈悲なスポーツです
なので、最初は10チームの順位を調べることから始めましょう。この順位はコンストラクターズランキング(スタンディング)と呼ばれます。
ポイント差が少ないチームは実力が拮抗しているので、そこもメインの観どころです

ちなみに2023年はレッドブルというチームが圧倒的に強かった。F1史上ここまで支配したシーズンはなかった。
年間ポイントを搔い摘むと以下のようになる。
1位: 860P (レッドブル)
2位: 409P (メルセデス)
3位: 406P (フェラーリ)
(中略)
10位: 12P (ハース)
もう、1位がダブルスコアで独走するので観戦しても面白くないようにみえるけど、ここまで強いと逆にリアルタイムで見れている事に感動すら覚える。また、2位と3位が最終戦まで激戦を繰り広げていて、チームとドライバーのガチンコ総力戦になっていて、これも見どころ満載だった。他にはマクラーレンというチームは開幕から壮大にコケたが、シーズン中盤に改良したマシンを投入し、最終4位まで大きく飛躍したのも観どころだったね。10位は12P、ううう、涙が枯れる。

レッドブルはF0と言われていた。

あとはマシンやチームの特性(得意、不得意)というのがあるので、そいうのを頭に叩き込めたらもう最高です、言う事なし。でもハッキリ言ってこれはハードル高いね。
・ストレートが、速い / 遅い
・高速 / 低速コーナーが、速い / 遅い
・硬い / やわらかいタイヤが、長持ちする / すぐダメになる
・ドライバーが速い / 遅い / 予選だけ早い
・戦略家がコンサバ / 機転がきく / ダメ / ギャンブルする
こういう情報は後述するニュースサイトを読んでいれば、自然と知識になります。
例えば、マシン特性がわかるだけでも「このチーム、先週末のグランプリは厳しかったけど、今週末のサーキットは絶対速いんじゃない?」「不得意のサーキットでこの結果は凄い!」と観戦中の楽しみがぐっと増えます。

日本人ドライバー、日本のメーカーは?

先に言うと、このスポーツはナショナリズムで追いかけるスポーツではないです。そういう事でしかスポーツ観戦できない人はマジで興味を持たない方が良いです。(それが観戦のキッカケになるなら大丈夫です!)
ちなみに、日本人ドライバーは遅いです。歴史とリザルトが物語ってます。逆に決勝10位のリザルトを喜べる人は本当にモータースポーツ向けです。

例えばサッカーW杯で盛り上がってた人たちが、全員、Jリーグの試合を欠かさず観るようなサッカーファン?絶対観てないよね?彼(彼女)たちはサッカーが好きなんじゃなくて、日本が好きなだけなんだよね。

ここまで読んでもF1って楽しそうに思えないんだけど

でしょうね。
ここからがこの記事で伝えたかった事なんです。
F1って「よーいドン!」で速いマシンとドライバーを決める選手権ですが、それは表面だけです。
現代F1の本質は「多額の投資を行い、勢力図を変えていくスポーツ」なんです。
F1チームの努力って週末だけでは気づけない事ばっかりなんです。
だからこそ、1戦だけ観ても、なんら面白くないんです。
1年通さないと楽しくないんです。
今は予算制限があり年間140億円程度ですが、青天井だった時代のトップチームは年間の予算500億円越えで、弱小チームを札束でぶん殴るゲームでした。(だから予算制限ができたの)
で、チームはこの予算を使って何をするかというと、マシンの開発や有能な人材のリクルート、設備投資というのを毎年、延々とやるんです。
週末のサーキットで確認できるのは開発されたマシンのパーツぐらいです。
「新しいデザインのウィング造ったわ」みたいに判りやすいものあれば、「親指サイズの板をちょっと曲げてみたわ」とか「先週つけた小指サイズのパーツ、前方に5mm移動したわ」みたいなのもあり、テレビ観てても絶対気づかないものも多いです。
さらに人材や設備なんて、その効果が結果として残るまで何年かかるねん。
F1チームの努力って週末だけでは気づけない事ばっかりなんです!(2回目)

なので、グランプリがない平日はF1関係のニュースサイトをチェックするのがおすすめです。
「お、このチーム今週末に、新しいウィング投入するってよ!」とか「このチームは人材流出が大変そうだな」とか「先週のペナルティの是非、ドライバー内で意見がわかれてるんだな」というのをチェックするんです。
こういう動向の結果、今週末のグランプリはどうなるんだろう?というのを確認するのがF1の楽しみ方と言っても過言ではありません。

お勧めのニュースサイト

信頼できる発信元(現地で取材、情報収集をしている方々)が情報を発信しているサイトです。

他には発信元が個人でも「考案・分析・説明」をするようなサイトもあります。これらの個人は専門家でないことが多いですが、上記のサイトの情報から「公平に」推測した記事が多いです。(いわゆるファンサイトではありません)
素人の知識の元で文章が書かれていますが、読み物としては大変楽しませてくれるサイトも多くあります。

おわりに

モータスポーツに慣れていない層に向けてなるべく専門用語や固有名詞を省いて語ってみました。
欲を言えば、タイヤ戦略、チームやドライバーの人物像、サーキット特性などの情報も書きたかったのですが、止まらなくなっちゃうのでこのくらいにしておきます。
現在は有料放送(DAZNやCS309)でしかF1は観戦できませんが、YouTubeにはF1の公式チャンネルがレースや予選のハイライト、面白チームラジオなど盛りだくさんのコンテンツを(英語だけど)提供してくれていますので、チェックしてみてください。
F1チームでは、レッドブルレーシングの公式チャンネルは、コンテンツがかなり面白いので(こっちは字幕で和訳があったはず)お勧めです。

ほな~!

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