見出し画像

時代の流れとF1のカタチ (未来編)

今回はオマケです。未来のF1のカタチはどうなるの?それはどんな問題を解決するため?という割と私感が多い記事になると思います。


2026年 新しいレギュレーション

はい、もう既に2026年のレギュレーションは概要が決まっているようです。空力とパワーユニット(いわゆるエンジン)が同時に改定されるので、マシン開発の立場から見るとインパクトがかなり大きいようです。
ちなみに、このレギュレーションの空力開発は2025年にならないと開発できません。ボディ開発についてどんな規則が定められているのか、未来のF1マシンのカタチを見てみましょう。(パワーユニットの改定内容は主旨から反れるのでここでは解説しません)

【注意】
FIAではなく、F1情報サイトに掲載されている情報です。FIAのサイトを探してみましたが、公表されているのは2026年のPU仕様のみで、ボディワークに関する情報は見つけることができませんでした、(2025年に公表されるんだと思います)

じゃぁ今から出てくる寸法とかの真贋はどうなんだと

ドイツのF1情報サイトに概要とマシンのCGイメージがありました。
「抜きやすく、軽量で小柄なF1マシン」を目指しているようです。

ん?今と変わらないように見えますか?

寸法がひと回り小さくなる!

具体的な変更点の確認をしましょう。
①全幅が100mm狭く、全長が200mm短くなる
ホイールが16インチにサイズダウン(現在は18インチ)
②タイヤ幅が狭くなる(18インチは据え置き)
車体を小さくする試みですね。
現在のF1マシンは、全長は5.5mでホイールベース(前後のタイヤ間の長さ)は3.6m、重量は約800kgもあります。実は凄んげぇ長くて重いんです。トヨタのノアが全長4.6mなので如何にデカいかがわかると思います。ちなみに20年前は600kgなので圧倒的に太りました。

実はF1の全長に関する規定ってザルだったんです。
前後のホイールからのオフセット長は決まってるんですが、ホイールベース(前後のホイール間隔)は自由だったんです。軽量で旋回(コーナリング)性能が良くなるマシンを作成しようと思うと、ホイールベースは短くなる傾向があります。コレが長くなったのは、給油禁止で燃料タンクが拡大するので伸ばすしかなかったんですが、平行してフロアからダウンフォースを絞り出すことが流行したので、フロアを大きくするためにどんどん長くなったんです(メルセデスが筆頭でした)。成長し続けるホイールベースを制限するようになったのはなんと2022年、超最近なんです

空力はどうなる?

空力関係では以下のような変更点があります。
①前後ウィングがアクティブエアロになる
②ディフューザーの高さが制限される
②インウォッシュ化
これらは追い抜きを促進するための改定ですね。
アクティブエアロは現在のDRSをよりアグレッシブにするようです。これについては賛否両論で、私も実は反対派です。

ツールに頼るのってスポーツじゃないと思うんです。(仮に使用回数に制限があるなら、決断や駆け引きが見えるのでまだ許せる)
あと、やっぱりストレートエンドでの追い抜きよりも、コーナーで追い抜くF1が見たいよね!

フロントウィングの翼端板がタイヤの内側になるのは2008年以前まで遡るんですが、果たして上手く機能してくれるのでしょうか?

ウィング幅がタイヤの内側までに制限されます

さらにフロントタイヤの後方に気流制御のための大型のフィンが2枚、搭載されています。

ここのエリアが鍵を握りそうです。

このCGに違和感があり、フロア下を通るアウトウォッシュが無いように見えます。(考えすぎ?手抜きCGで省略されただけ?)

フロア下から排出される気流(ピンク)

フロントタイヤの乱気流をアウトウォッシュの代わりにフィンで整流するという感じでしょうか。気流の流れを明示化してみました。

①タイヤの内側を通過する気流(緑色)
②タイヤの裏で発生する乱気流(黄色)
③タイヤ外側を流れる乱気中(ピンク)

②の乱気流はフィンの内側を流れ、③はフィンの外側を流れると思います。気流の合流ポイントが注目ですね。①以外は乱れた気流なので上手に合流させる事が重要になるでしょう。一番外側のピンクの気流は、フロア下から排出される気流があるか否かで用途が変わりそうです。

レギュレーションの雑感

ココからは現時点で認知している情報に基づいた、完全に私の妄想です。
まず、マシンの軽量化です。
シャシーでどれぐらい軽くなるかはわかりませんが、少なくともエンジン関係で軽量化が見込まれます。まず、カーボンニュートラル燃料になるため燃料が純粋に軽くなります。MGU-Hを筆頭にいくつかの補機類が廃止になるのですが、代わりにモーターやバッテリーの重量は上がるかも知れません。燃料の変更により発熱量が減るためラジエターが小型化すると思われ、これも軽量化に一役買うと思います。

次は空力に目を向けてみましょう。
アクティブエアロがどれほどの効果があるかは現時点ではわかりません。
まずフロントウィング、インウォッシュは追走困難な状況を解決してくれるのでしょうか?
フロントタイヤの乱気流と共生できるエアロ開発なら、現在の状況から改善されると思います。ただ、フロントウィング幅が縮むので、減ったダウンフォースを稼ぐためにウィングが立つ事が予測されます。そうすると、気流はフロントで上向きに流れるのでフロアへの流量が減り、グランドエフェクトが弱くなるかも知れないんですね。
そして、フロア上面の大きな2枚のフィンのエリアですが、開発自由度によっては2021年のバージボードみたいな複雑な空力パーツが乱立するかも知れないです。(いや、流石に自由に開発させてくれんか)

というかフロントウィングの翼端板から外側、めちゃくちゃアウトウォッシュしたくなるような形状なんですけど!
もしフロントタイヤ後ろのエリアが自由に開発できるなら、フィンを使って強力な気流のスクリーンを発生させることができます。しかもエンジンの発熱量が減るのでラジエターは小型化、つまり、ゼロポッドが復活するかも知れませんよ。

リアウィングに目を向けると、ウィングのエレメント数が4つになっています(今は2つ)。これはアクティブエアロの要求でこうなったのかはわかりません。翼端のカーブした部分、ここにスリットが入ると、かなり気流を乱しそうです。(2018年のフロントウィングの造形を彷彿させます)

気流が拡散されるのでココに他所から気流が流れ込む

おわりに

現時点で公表されている情報では正確な未来図は描けませんが、このレギュレーションは成功しそうか?という点について。
私は現在よりも改善されそうな予感、特に全幅の縮小は良い決断だと思います。
勢力図も大きく変わるかも知れませんね。これは同時にリリースされるパワーユニットの出来も結果を大きく左右するからです。
新たな情報が公表されたら、また記事にしてみようと思います。
 
ほなね~!


この記事が参加している募集

F1を語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?