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【彼と彼女のものがたり】sideD

「魂」で繋がる彼と彼女のものがたり

現実の光と闇を行き来しながらも

お互いの存在を意識しながら

共に生きていく。
《吾輩は犬である》〜side G〜

相方のぐらは、いつもボクを下にみてる。

オンナはいちいち細かくて

面倒くさい生き物だと思う。

(こんなこと、ぐらには言えないけど!)

おんなじパパとママから生まれたけど、

カラダのサイズも色も違うから

兄妹には見えないらしい。


ボクらは長野から薫と一緒に東京に来た。

何にも知らないボクらに、

薫は沢山の事を教えてくれた。


美容室にお客さんが来たら、吠えないこと

リードを引いたら、ストップすること

ごはんの前はお座りすること、、、


《ニンゲン》と一緒に生活する為のルールを丁寧にひとつずつ教わった。

たまに、お外に飛び出すと薫はすごく恐いけどね。

それ意外はママみたいに優しいんだよ。

今日は薫はご機嫌だった。

(多分、あのヒトが来るからだろうな、、)


あのヒトは薫と同じ匂いがする。


《そうたさん》って薫は言うけど、

ボクからすれば

同じ種類のニンゲンだと思っていた。


「、、お疲れさまです〜」

「ごめん、ちょっと遅れた!

駐車場空いてなくて、、」


そうたさんは、いつもボクのお腹を撫でてくれるからスキだ。

ボクが気持ちいい場所を触ってくれるニンゲンって実は少ない。

頭を触ってくるニンゲンが多いけど、

あれはキライなヒトにはされたくないんだよね。。。

(薫と仲良さそうなニンゲンには、一応愛想よく尻尾は振るけどさ。

匂いが好みじゃないニンゲンはスキじゃない。)


そうたさんは、ぐら曰く《ジェントルマン》らしい。

たしかに、ボクらの領域にズカズカ入ってこないヒトだと思う。薫と話した後、必ずボクらにも無言で挨拶してくれる。

「お邪魔します〜元気だったか??」

撫でながらそうたさんがそう言ってるのは、ボクでも伝わってきていた。

「オンナにモテるタイプってああいうニンゲンなのよー!」

ぐらはそう言ってたけど、ボクにはそういうのわかんないし、別に知らなくていいや。

薫は気づいてないかもしれないけど。。

そうたさんは、ずっと薫ばかり目で追ってるのをボクは知ってるんだ。

薫が他のニンゲンと話していたり、お掃除してるのを鏡越しに見てるから、きっとスキなんだろうなぁと思っていた。

「ニンゲンはもっとフクザツなんだって。
アタシ達とは別なのよ。」

ぐらはそんなことを言っていた。


《フクザツ》って何なのかな、、??

スキなら、

尻尾たくさん振ったり、

お顔舐めたりしたくならないのかな、、??


ニンゲンはボクらより

頭がいいのかもしれないけど、

スキやキライを出さないから

ボクにはよくわからない時があるし、

不思議で仕方ない。


ニンゲンみたいに

スキを隠さなきゃいけないなら、

ボクは犬のまんまでいいかなぁと思う。


一度だけそうたさんに聞いたことがある。


「触って?」って言いながら

近づいた時、聞いたんだ。


「、、、薫のこと

スキでしょう??」

「、、うん、大好きだよ。

お前にバレてた??」

「わかるよー

一緒の匂いだもん!」

「そっかぁ。。

でも、まだ薫には秘密だぞ?

オトコ同士の約束だからな。」


そうたさんはボクの背中を触りながら

秘密を話してくれた。

ボクもオトコだから、約束は守るんだ。


きっと、いつか

そうたさんは薫に話すんだと思ってるし、

二人がもっと仲良しになったら

ボクもぐらも嬉しいのにな。。











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