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farewell

身体からだは大人を追いかける
色素の薄い髪は季節に流される
やや掠れた声で歌う少女は目を閉じる

別れは幾度となく訪れるが
同じ別れは二度来ない
濁りきった河に流した花籠は美しかった

時間は流れ続けるなかで
ひとつの時間は止まり
もう二度と目が合うことはなくなった

流れ続ける時間は濁り続け
止まり、そして流れた時間は美しかった
それが悲哀であり
それらは生命と損なわれたもの
だと思った

水かさが増すように悲哀は満ちたが
存外、眠りの手は容易く朝までの洞穴へ連れてゆき
目覚めると河に沿って雲は朝を流れていた

急に腹が鳴り出した
思えば昨日の昼から何も食べていなかった
通りすがった村で見た弔いを
美しいと感じたことは薄情にも思えるが
悼みははなむけ
進む者には必要なことに思えた

昨晩の少女は河べりで洗濯をしており
額を拭った手から落ちた水滴が輝いていた



ノマドシリーズ


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