あとのひかり
切らせた息と似つかわしくない風景だった
随分前に眠りについた切り株に
ひかりのあとが差し込んでおり
音なく近づいた野良猫の足跡のようだった
いつもより空に見つめられている気がした
人目を気にすることを今だけやめて
ベンチと二重瞼をつくるみたいに仰向けになると
曇ひとつない空だから音がなかった
落ち葉が多い方が歩くことがよくわかる気がする
吊られたカーテンみたいに風に揺れて
遠くには行けなくても居場所はわかっている
今日という今日はそんな風に見えた
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